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〔外為ウオッチ〕コロナショックで外貨預金活況=売買高、前年の5倍も

2020年04月22日 12時22分

 コロナショックで外国為替相場が大きく揺れ動く中、金融機関が取り扱う外貨預金を通じた為替取引が活況を呈している。外貨預金に力を入れるソニー銀行は「3月の売買高は昨年の3月に比べて約5倍だった」と明かす。主に為替差益を狙って短期の入出金を重ねる人が増えたことが背景という。

写真 1ドル=102円台に上昇した円相場と2万円を下回った日経平均株価の終値を示す電光ボード=3月9日、東京都港区の外為どっとコム
1ドル=102円台に上昇した円相場と2万円を下回った日経平均株価の終値を示す電光ボード=3月9日、東京都港区の外為どっとコム

 3月のドル円相場は当初、1ドル=107円台だった。ところが、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大。加えて、サウジアラビアが原油の減産を取りやめ、原油価格が急落したことで、安全資産とされる円が買われ、9日には3年4カ月ぶりの101円台に急落した。下旬は、世界経済低迷への懸念からドル資金を手元に確保する動きが強まり、一時111円台半ばまで上昇、月間の値幅は10円以上と乱高下した。

 こうした中、外貨預金の利用者は円高局面で、ドルの他、豪ドル、カナダ・ドル、トルコ・リラ、南アフリカ・ランド、メキシコ・ペソといった高金利の新興国通貨に資金をシフトさせ、円安に振れた場面で円に戻して収益を稼いだ向きがいたとみられる。

 為替変動を収益機会とする金融商品では、外国為替証拠金取引(FX)などもあるが、外貨預金は「大手金融機関で取り扱っていることで利用者にとっては安心感があるようだ」(FX会社)という。また、取扱機関の商品設計によっては「スマホ一つで別口座から資金を振り替えられる」(同)といい、手軽さも魅力となっているようだ。

 一方で、外貨預金は円預金と異なり、保管や取引などに手数料がかかる。また、相場の動き方によっては元本割れするほか、預金保険機構の保護対象となっていない。

 ドル円は足元で、107円台を中心に推移し、一見落ち着いている。ただ、コロナ禍や原油安は収まっておらず、「平穏で動かないのではなく、緊迫感が漂う中、動けない」(シンクタンク)という。外貨取引する際は相場の急変に注意する必要がありそうだ。(了)

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