独自:金融派生商品、損益通算見送りへ=租税回避の懸念根強く―政府・与党
2020年11月25日 17時51分
自民党税制調査会総会であいさつする甘利明会長(正面右から2人目)=19日、東京・永田町の同党本部
政府・与党が、株式や債券など異なる金融商品間の損益を相殺して税負担を軽減する金融所得課税の一元化をめぐり、金融派生商品(デリバティブ)の追加を見送る方針を固めたことが25日、分かった。金融商品を一体的に扱う「総合取引所」の開始や国際金融都市構想を推進する立場から、金融庁や農林水産省が要望していたが、恣意(しい)的な租税回避行為に悪用されかねないとの懸念を払拭(ふっしょく)できなかった。
異なる金融商品間の損益通算をめぐっては、日本取引所グループ<8697>が7月に証券と商品先物の金融商品を一括して扱う総合取引所をスタートさせたことを契機に、税制面での環境整備を求める機運が高まっていた。金融、農水に経済産業省を加えた3省庁は、海外ファンドなどを呼び込み、政府の国際金融都市構想を後押しする意味でもメリットがあると強調していた。
デリバティブ取引への対象拡大については、これまで税制改正大綱の検討事項として、租税回避防止策が課題と指摘されていた。日本証券業協会などが対策案を示したが、政府・与党は不十分と判断した。(了)
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