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ワクチン期待、NY株押し上げ=景気打撃の中「実体と乖離」の声―ダウ3万ドル突破

2020年11月25日 17時32分

 【ニューヨーク時事】24日のニューヨーク株式市場では、代表的指標であるダウ工業株30種平均が、史上初めて3万ドルを突破した。新型コロナウイルスのワクチン実用化を目前に控え、経済正常化への期待が膨らんだ。ただ米国では、新型コロナ感染が急拡大。景気が打撃を受ける中での株高に「実体経済と乖離(かいり)している」(日系証券)との声もある。

 ダウ平均は2月中旬に2万9500ドル超の高値を付けた後、新型コロナ感染拡大を受けて1万ドル以上急落した。米経済対策や大規模金融緩和を支えに、4月以降の回復を演出したのはIT企業だ。「巣ごもり」を強いられる中、インターネット通販やビデオ会議システムなどを手掛ける企業が買われた。

 最近の相場の主役は、航空会社やエネルギー企業、金融業など新型コロナで打撃を受けた業種。米欧の製薬会社によるワクチン開発の進展を受け、業績回復期待が高まった。「ワクチンの普及で、来秋には経済正常化が進むシナリオが描かれている」(同)という。

 ただ、米国の新型コロナ感染者数は1日当たり17万人超と過去最悪のペースで拡大。西部カリフォルニア州は今月21日から大半の地域で夜間外出を禁止したほか、東部ニューヨーク州もレストランなどの営業制限を強化した。

 飲食店予約サイトによると、米国の予約状況は一時、前年同期比6~7割程度まで戻ったが、最近は再び5割未満に低迷。「サービス業の回復は、ほとんど見られない」(米調査会社)との指摘すら聞かれる。

 米国野村証券の雨宮愛知シニアエコノミストは「今から半年程度の米景気の谷の深さは、はっきりしない」と警鐘を鳴らす。市場では、ワクチンへの期待による急激な株価上昇で過熱感が強まっており、「年末までにある程度の調整局面を迎える」(米資産運用会社)との警戒感も出ている。(了)

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