仏財務省筋:パリクラブへの債務猶予申請国増加=合意条件明確化で
2020年05月20日 12時42分
【パリ・ロイター時事】パリクラブ(主要債権国会議)と20カ国・地域(G20)の合意に基づき、今年の債務返済猶予が認められる国の数は、パリクラブが条件を明確化したことで今後増える見通しだ。パリクラブの調整役を担うフランス財務省の関係筋が19日明らかにした。
G20とパリクラブは4月、最貧国77カ国の債務返済を今年凍結することで合意した。これらの国々が新型コロナウイルス流行に対処するための財源を確保できるようにする。
ただ一部の債務国はパリクラブへの返済猶予申請をためらっている。複数の格付け会社が、パリクラブに足並みをそろえて債務返済猶予に合意した民間債権者への支払いを行わなかった場合、債務不履行(デフォルト)とみなす可能性があるとの見解を示したことで、自国の信用格付けにマイナスになりうると懸念された。
ケニアのヤッタニ財務相は先週ロイター通信に対し、同国がパリクラブに債務返済猶予を申請しない理由の一つがそれだと語った。
同筋によると、これまでのところパリクラブが債務返済猶予で合意したのはカリブ海諸島のドミニカ共和国とグレナダ、アフリカのマリとネパールにとどまっている。
しかしパリクラブはこのほど、申請国が債権を持つ国に対する返済猶予だけを希望することを指定できると明確にした。
同筋は「約20カ国が、合意調印に向けた文書を詰めている。今後数日間でさらに十数カ国が申請を行う見込みだ」と述べた。
別の関係筋によれば、近いうちにパリクラブと合意する公算が大きいのはカメルーン、コンゴ(旧ザイール)、コンゴ共和国、エチオピア、パキスタン、モーリタニアなど。
通常パリクラブは債務国政府に対し、民間の債権者にも同様の返済条件を求めるよう要請している。関係筋は、この例外規定によって、格付け会社は債務猶予措置が格付けにネガティブではないことを今は理解していると説明した。(了)