〔商品先物参入外資②〕HSBC、日本は「世界の最重要市場の一つ」
2020年10月28日 11時55分
大阪取引所で総合取引所がスタートしたのを機に日本の商品先物市場に新たに参入した、外資系証券会社の書面インタビューの2回目はHSBC証券(東京)。事業法人営業部長の島崎大氏が回答を寄せた。同社が今回参入した理由については「ニューヨーク商品取引所(COMEX)などと同様、世界の最重要貴金属市場の一つであり、参加することで、貴金属市場におけるHSBCのコミットメント(責任ある関与)を認識していただける」ためと答えた。
HSBCは英国に本社を置く金融グループ。HSBC証券は、グループ傘下の証券会社として海外のネットワークを活用し、日本の事業法人・機関投資家をサポートしている。コモディティー(商品)に関しては、戦略の一環として鉄や銅などのベースメタル取引を控えることを決めた一方、「これまで以上に貴金属ビジネスに注力する方針を打ち出している」という。
大阪取での取扱商品については「金標準が主要プロダクトであるが、銀やプラチナ、パラジウムも店頭市場(OTC)で取り扱っている。今後の展望として(貴金属の)商品群を拡充する可能性はある」と回答。大阪取では貴金属のほかゴム・農産物の先物商品も上場され、来年秋には原油などエネルギー関連も追加される見通しだが、こうした分野を扱う考えはないという。
商品先物市場の在り方として「成功に最も重要なのは流動性だ」と指摘。その上で、日本では「膨大な工業セクターの実需に支えられている。今後効率性と透明性がさらに改善されていき、海外の投資家や事業法人がアクセスしやすい環境、魅力的な商品ラインアップが整備されるとともに、流動性はさらに増していく」として、今後は流動性を向上させる施策が不可欠との認識を表明した。
さらに、日本の商品市場に関し「同じアジアでは、上海金取引所がその市場規模から、海外投資家による大きな注目を浴びている。しかし、グローバルな貴金属プレーヤーにとって、現在でも象徴的な存在」と強調。「他の商品取引所と比較して高い効率性を維持し続ければ、海外投資家が急速に離れていくことにはならない」との見方を示している。(了)
総合取引所
米国や中国では商品先物などデリバティブの取引が非常に活発だ。日本取引所グループもデリバティブ取引の拡大を目指して総合取引所を開設。証券会社の …