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ヤフー・LINE、来秋統合=利用者1億人規模、巨大ITに対抗

2019年11月18日 20時35分

 検索サービスなどを手掛けるヤフーの親会社Zホールディングス<4689>(HD)と無料対話アプリ大手のLINE<3938>は18日、2020年10月をめどに経営統合することで合意したと発表した。統合により利用者が1億人規模に上る国内首位のインターネットサービス企業が誕生。人工知能(AI)を駆使して「プラットフォーマー」の機能を強化し、米巨大IT企業「GAFA」を追撃する。

 ZHDの川辺健太郎社長は記者会見で「日本、アジアから世界をリードするAIテックカンパニー(技術企業)を目指す」と強調。その上で「(グループ社員2万人で)最強のワンチームを目指していきたい」と述べた。一方、LINEの出沢剛社長は「優秀な人材、お金、データのすべてが(このままでは米国勢など)勝者に総取りされる」と指摘し、危機感から統合を選んだと説明した。

 ZHDとLINEは、経営資源を集約し事業の相乗効果を追求する。AI、電子商取引、フィンテック、広告など「新規事業での成長を目指し投資を実行する」方針だ。川辺社長は「海外勢に対抗するためAIに集中していかなければならない」と語り、競争力強化に向けてAI分野を中心に毎年1000億円以上の投資を行う考えを示した。

 出沢氏は単純合算で登録者数が約5600万人に達するスマートフォン決済サービスを念頭に、「利用者、加盟店ともに利便性を飛躍的に向上させる」と力を込めた。ただ、決済サービスを含め両社で重複するサービスを整理するかどうかは統合完了後に協議していくという。

 ZHDは、ソフトバンクグループ<9984>の中核企業である通信大手ソフトバンク<9434>の子会社。ソフトバンクとLINEの親会社の韓国IT大手ネイバーは折半出資で新会社を設け、新会社がZHDを傘下に収め、ZHDの完全子会社としてヤフーとLINEを存続させる。

 統合の過程で、ソフトバンクとネイバーが全株式を保有するLINEは上場廃止となる。統合完了後、ZHDの社長は川辺氏が続け、川辺氏と出沢氏が共同最高経営責任者(CEO)に就く。

 ◇ZHD・LINE統合会見のポイント
一、Zホールディングス(HD)とLINEは対等の精神で統合
一、日本、アジアから世界をリードする人工知能(AI)技術企業を目指す
一、統合により米国や中国勢に次ぐ第三極を目指す
一、ZHDの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長がZHD共同最高経営責任者(CEO)に就く
一、独禁当局の審査を経て2020年10月に統合完了予定
一、全てのサービスの方向性は統合実現後に個別に判断する
一、ソフトバンクとネイバーによるTOB(株式公開買い付け)を経てLINEは上場廃止(了)

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