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高速大容量「5G」スタート=10年で社会激変、次の世界は―革新的サービスに期待

2020年03月30日 18時38分

 2010年12月に始まった4G(第4世代通信技術)のサービス開始から10年。3月下旬、4Gをはるかにしのぐ高速大容量の5G(第5世代通信技術)サービスが国内で始まった。次の10年、どんなサービスが生まれるのか。スマートフォンが爆発的に普及し、人々の生活を大きく変えた過去10年を振り返った。

 ◇インターネットマシン

 「携帯電話がインターネットマシンになる、歴史的な日」。米アップルのiPhone(アイフォーン)が国内で発売された08年7月、当時独占販売契約を結んだソフトバンク<9434>の孫正義社長(当時)はこう宣言した。

 10年12月、NTTドコモ<9437>は「Xi(クロッシィ)」と名付けた4Gサービスを開始。日本は本格的なスマホ時代に入り、個人保有率は11年の14.6%から、18年の64.7%まで上昇した。

 スマホの登場に合わせ、新たなコミュニケーションツールが普及。11年にサービスが始まった無料通信アプリ「LINE(ライン)」だ。19年末の国内ユーザー数は8300万人に達し、通話に代わる通信手段として社会に根を下ろした。

 買い物の仕方も様変わりした。スマホ上でストレスなく商品画像を確認できるようになり、ネットを通じた買い物が加速。衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZO<3092>や、個人が不用品などを売買するフリーマーケット(フリマ)アプリを提供するメルカリ<4385>などがその流れに乗って業績を急拡大させた。

 ただ、LINE<3938>、ZOZOは19年、いずれも大手IT、ヤフーとの協業を選択。新たな事業モデルや経営形態の模索を続けている。

 ◇SF世界へまた一歩?

 海外に目を転じると、過去10年の動きは国内以上にダイナミックだった。野村証券によると、米巨大ITのグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンを指す「GAFA」の時価総額は12年末に計9043億ドルだったが、19年末は計3兆7291億ドルに拡大。4G時代に企業規模は約4倍に膨らんだ計算だ。

 中国企業も「BAT」と呼ばれるバイドゥ、アリババ、テンセントの3大IT企業を中心に存在感を高め、中国発のスマホメーカーは世界シェアを拡大しつつある。

 国内携帯大手3社は3月、5Gに対応した新プランを相次ぎ発表。共通するのは、データ使用量の大幅引き上げ、または無制限とした点だ。各社とも個人向けの5Gサービスの主力は動画になるとみており、高画質動画や立体映像、仮想現実(VR)などの普及を見込んでいる。

 民間シンクタンク、情報通信総合研究所の岸田重行上席主任研究員は、「ガラケー」と呼ばれた携帯電話がスマホに置き換わったように、5Gでも革新的な情報端末が生まれてくる可能性を指摘。「現実化すれば、今後10年でSF映画のような世界に一歩近づくだろう」と期待を語る。(了)

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