世界最大のサンゴ礁保護で「投資」を=世界初の市場が整備
2020年10月22日 16時54分
AFP時事
【シドニー時事】オーストラリア東部沖に広がる世界最大のサンゴ礁で世界遺産に登録されているグレートバリアリーフの周辺水域の水質を改善して保護につなげようと、「リーフ・クレジット」と呼ばれる市場の仕組みが整備され、地元クイーンズランド州政府と民間銀行がクレジットを購入することになった。地元では今後、環境や社会貢献、企業統治への取り組みを重視するESG投資の資金を呼び込みたい考えだ。
水質を対象にしたこの種の市場は世界で初めて。環境関連の投資会社グリーンカラーが州政府などと協力して開発した。仕組みは温室効果ガスの排出削減を行った際に取得できるカーボン・クレジットと似ている。農家が生産性を損なわずにリーフ周辺の水質の改善につながる行動を取れば、その規模に応じて売却可能なクレジットを与える。買い手には、数値化された水質改善の実績が提供される。
グリーンカラーは2030年までに600万クレジット相当の市場が創設されるとして「多くの企業が投資する機会が開かれる」と強調した。
地元が目指す水質改善の目標を達成するには、40億豪ドル(約3000億円)の投資が必要との試算がある。全長約2300キロにわたるグレートバリアリーフでは最近、水質の悪化や気候変動などの影響で生息するサンゴが半減したとの報告書が公表された。(了)
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