金鉱株、金以上の運用成績に=ブラックロック・ジャパンの青山氏

2020年05月11日 12時54分

AFP時事
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 米資産運用会社ブラックロックの日本法人、ブラックロック・ジャパン(東京)の青山達郎クライアント・ビジネス第三部長は、金鉱山を経営する「金鉱企業」株式で組成するファンドについて「年初からの運用実績は金を含む他の資産を大きく上回った」と強調。今後も「金以上の運用成績が期待できる」と話す。ブラックロックはバリック・ゴールド(カナダ)、ニューモント(米)など海外の大手金鉱企業に投資する「ブラックロック・ゴールド・ファンド」を長年運用している。主なやりとりは次の通り。

 ―金鉱企業の現状は。

 近年、自助努力による生産コストの削減に取り組み、利益率は改善傾向にあった。さらに産出する金価格の上昇や、原油価格の下落に伴う動力費の低減、金鉱がある新興国の通貨安が利益を押し上げている。

 業界には企業の合併・買収(M&A)や経営体制の改善に取り組む動きが散見され、資金調達コストの低下が見込まれる。フリーキャッシュフローは過去の平均より健全だ。

 ―最近の金生産に変化はあるか。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一部企業が生産量を引き下げている。新規鉱山の開発は、2011年前後の乱開発の失敗や新興国の政治情勢を含めた地政学などの観点から、おおむね慎重だ。

 ―金鉱株の値動きは。

 バリック・ゴールドやニューモントは昨年以降の金価格の上昇によって2~3月に戻り高値を付けた。その後、株安の穴埋めのための利益確定売りに一時調整したものの、押し目買いに値を戻しており、両社は前回の高値を更新している。

 ―金鉱株ファンドの運用状況は。

 ファンドの年初から4月27日までの運用実績はプラス21.9%と金価格の14.0%の上昇率を上回った。ニューヨーク金先物が11年に付けた過去最高値1オンス=1923ドルに着実に近づいている一方、ファンドは依然、戻りが遅れている。今後も金価格の上昇局面では金よりも値動きが大きくなるとみている。

 他の金融資産を見ると、同期間の世界の株式はマイナス15.9%、安全資産として金と比較される世界の債券はプラス2.2%だった。金鉱株ファンドは株式との相関が債券より低く、分散効果が見直されている。

 ◇金価格、高値圏で推移

 ―金価格の見通しは。

 短期的には世界のコロナウイルスの感染状況に左右されるが、各国は対策として異例の規模の金融緩和や財政支出を打ち出しており、債務が積み上がる見込みだ。金価格はインフレに対する資産保全の観点から高値圏で推移するとみている。

 長期的には不安定な環境へのリスクヘッジの役割が期待される。コロナ後も各国の低金利政策が継続すると予想される中、債券は利回りが低下し、株式の下落に対するクッションとしての機能を果たせていない。金は金利を生まなくても、債券との比較で見劣りしなくなっている。

 ―実需の動向は。

 中国の地金消費がインドを超え、二大国という格好になった。また、米ドル建て資産への依存度を下げることを目的に中国とロシアの中央銀行の買い入れ額が大きく伸びており、価格を下支えするとみている。(了)