TOPIXはどう変わる?=来年4月の東証市場再編で-大和総研の神尾氏に聞く
2021年07月20日 10時00分
東証は来年4月、最上位の「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業を対象とする「グロース」の3市場に再編される。現在、「市場第1部」の全銘柄を対象に算出している「東証株価指数(TOPIX)」がどう変わるか、大和総研政策調査部の神尾篤史主任研究員に聞いた。
-新区分適用の進め方は。
神尾氏 新区分が適用される来年4月4日のTOPIXは、現在の区分での最終営業日となる同月1日の構成銘柄が継続される。その後は「流通株式時価総額100億円以上」を基準に、達成できない銘柄は、来年10月から段階的にウエートが落とされ、移行が完了する2025年1月末にTOPIXから除外される。
流通株式時価総額とは、主要株主や役員が所有する株式や、自己株式、銀行等が保有する株式などを除いた上場株式の時価総額だ。現在のTOPIXは、時価総額数十兆円から40億円程度までさまざまな企業が入っているが、見直しにより一定程度の流動性や時価総額が求められるようになる。
-銘柄追加や移行完了後の方針は
神尾氏 来年4月4日以降、TOPIXの構成銘柄は、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場の株式で構成される。ただ、追加については、「プライム市場」に新規上場するものに限られる。
東証は、移行が完了する2025年1月以降のTOPIXの銘柄選定について「今後、市場関係者の意見を募ったうえで策定する」としている。例えば、「スタンダード」や「グロース」の銘柄と入れ替えたり、銘柄数を見直したりすることが考えられる。TOPIXの間口を狭めて、競争が働くようにすることで、TOPIXの評価が高まることを期待している。
-市場区分変更のスケジュールは。
神尾氏 東証に上場する各企業は9~12月末に、来年4月以降に上場する市場を選択する。東証は来年1月11日、「プライム」「スタンダード」「グロース」の各市場に所属する企業を発表する予定だ。
-新基準の達成状況は。
神尾氏 東証は7月9日、第1部市場に上場する企業のうち、流通株式時価総額100億円など、プライム市場の基準を満たさない企業が664社あると発表した。TOPIX構成企業(6月末、2190社)の約3割を占める。
こうした企業も「上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出し、改善を進めることで「プライム市場」に移行できる。具体的には、親会社に保有株式の売却を依頼するなどして流通株式数を増やすことや、成長戦略をアピールして株価を高めることなどが考えられる。
東証新市場
2021年4月末現在、1部に上場する企業は2191社。「プライム」は証券市場で実際に取引される株式の時価総額などの基準を厳しくするため、約7 …