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企業型DC、制度改正で掛け金拡充・シンプルに=NPO法人確定拠出年金教育協会の大江理事-AM-OneのDCセミナー①

2025年02月20日 08時00分

大江加代氏

 運用会社のアセットマネジメントOneは、「DCセミナー2025~未来を見据えたDC法改正と金融経済教育の新潮流~」を、運営管理機関大手のみずほ銀行と第一生命保険、米国の運管大手の日本法人ティー・ロウ・プライス・ジャパンの協賛で開催した。

 この中で、社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員で、NPO法人確定拠出年金教育協会 理事兼主任研究員の大江加代氏が、「次期DC法改正のポイント~社会保障審議会から~」をテーマに講演した。

 確定拠出年金(DC)は、昨年12月にまとまった政府の税制改正大綱や厚生労働省社会保障審議会の報告書の中で、制度改正の枠組みが示された。今国会に改正法案が提出される見通しだ。

◆拠出限度額引き上げ、マッチング拠出の制約撤廃

 大江氏は、企業型DCの改正事項のポイントについて、①確定給付企業年金(DB)とDCを含めた掛け金限度額が月額7000円アップされ6万2000円になる ②マッチング拠出について「事業主掛け金額以下」という制約が撤廃される ③外国籍社員が帰国する際の脱退一時金の要件が緩和される ④「加入者のための見える化」を推進する-の4点を挙げた。

 その上で、マッチング拠出の制約撤廃のメリットについて、「一般的に事業主掛け金が低い若い社員は、マッチングで出せる掛け金が少額だったが、法改正が実現すれば、事業主掛け金等と合わせて6万2000円まで拠出できるようになる」と指摘。さらに、「個人型確定拠出年金(iDeCo)と掛け金上限額を比較するなどの検討が不要になり、社員への説明がシンプルになる」(大江氏)と紹介した。

 iDeCoでは、法改正が実現すれば、会社員や公務員(国民年金の第2号被保険者)の拠出限度額が引き上げられ、DBや企業型DCの掛け金を含めて月額6万2000円まで拠出できるようになる。また、自営業者等(第1号被保険者)の拠出限度額も月額7万5000円にアップされる。さらに、加入継続できる年齢の上限は、70歳未満に引き上げられる。

 「加入者のための見える化」では、運営管理機関が開示するDCの商品ユニバースについて、事業主が有効活用できる形式になるように改善を促す。また、企業が運営する各プランの状況について、厚生労働省が既に保有している業務報告書等から公表する見通しだ。

◆老後準備が「不安でない状態」をめざす

 大江氏は、企業型DC加入者にとって望ましい状況について「企業型DCは、公的年金や退職金等を含めて老後の生活を支える資産なので、これらを合わせて老後資金の準備が『不安でない状態』にすることだろう」と指摘。

 「金融経済教育の提供や、加入者本位の商品の提示、継続的なコミュニケーションを通じて、従業員一人一人が、自分の資産額や商品選択の状況について『これでよい』と思える状況にすることが、事業主のDC運営のゴールと言えるだろう」と述べた。

 

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