新NISA、年間買付額15兆円超に=政府目標上回るペースで拡大-モーニングスター・ジャパンがレポート
2025年01月16日 15時30分
モーニングスター・ジャパンは「NISA概要レポート2024年年間」を公表した。金融庁のまとめによると、2024年1-9月のNISA口座の買付額は13兆7932億円となっており、年間買付額は15兆円を超えることがほぼ確実になった。NISA開始以降の累積買付額は、24年末に50兆円を超える見込みで、「累積買付額56兆円」の政府目標は、2025年第1四半期にも達成される可能性がある。
マネジャーリサーチ部の元利大輔部長は、NISA口座経由の投信購入について、「既存の投資信託市場を侵食するものではなく、市場全体の底上げに貢献しており、公募投信の設定額自体も大幅に増加している」と分析。「NISAが新たな投資家層を開拓し、裾野を広げていることを示唆している」と指摘した。
◆低コスト・インデックスファンドが人気集める
投資家の人気を集めたファンドを見ると、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が、他のファンドを大きく引き離し、圧倒的な資金純流入を記録した。
元利部長は「世界株式や米国株式のインデックスファンドに資金が集中する傾向が継続しており、投資家の低コスト志向は依然として強いと言える」と指摘した。
◆リスクに関する情報提供の強化を
その上で、「新NISAをきっかけに、初めて投資に挑戦した投資家も少なくないと考えられることから、資金流入の上位ファンドが株式型に偏っている現状は、長期的に安定した資産形成という観点からは懸念材料だ」と分析。
「特に投資初心者に対しては、分散投資の重要性を啓発し、リスク管理の意識を高めることが急務である。運用会社や販売会社をはじめ、金融商品を投資家に届ける立場にある関係者は、投資する資産固有のリスク(ボラティリティ)について、投資家の理解を深めるための情報提供やサポートを強化していく必要があるだろう」と注意喚起した。
また、今後の課題として「市場の変動に左右されずに投資を継続できるよう、あらゆる市場局面に対応した情報提供とサポート体制の構築が必要だ」と指摘している。
【モーニングスター・ジャパン、レポート】
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