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〔マーケット〕米国は利下げ、日本は利上げに進む中で、ドル安を予想-日興アセット・神山氏

2025年07月18日 08時00分

神山直樹氏

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト 2025年夏号」をまとめた。チーフ・ストラテジストの神山直樹氏は、米国が利下げ、日本が利上げを行う中で、緩やかなドル安を予想した。主なポイントは以下の通り。

◆マーケット見通し

 米国経済はインフレを克服し、米連邦準備制度理事会(FRB)は年末までに2回利下げを行うと想定している。関税引き上げの影響は、インフレではなく、個人消費の悪化懸念として出てくると見ている。

 一方で日銀は利上げを行い、政策金利を来年6月までに1%程度に引き上げると予想している。今後、米国と各国との関税交渉が一段落すれば、中央銀行は金利変更をやりやすくなるだろう。

 こうした中、円相場は、来年6月末で1ドル=136円と予想している。米国の利下げにより、為替はドル安(円高)方向に動くだろう。

 このとき、日経平均株価は4万1000円台に上昇することをイメージしている。一方、米国株は、消費悪化懸念を背景に弱気に見ており、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は4万2000ドル台と予想している。

◆米国経済

 米国の非農業部門雇用数は、増加テンポが緩やかにスローダウンすると予想している。小売売上高は、関税引き上げ前の前倒し需要が発生したため反動減が予想されるものの、こちらもスローダウンにとどまるだろう。景気後退は予想していない。

 トランプ政権の関税戦略については、相手国の輸入増加などの妥協を通じて、主要国では10%程度に収まることをメインシナリオに考えている。

◆日本経済

 日本経済は、米国の輸入がある程度の水準で安定すれば、日本の輸出は高いレベルで落ち着くだろう。加えて、内需分野も人手不足に転換しており、ヒト・モノ・カネの不足が継続すると見ている。自然な金利上昇の中で、株価も上昇すると予想している。

 今後、内需の動向が注目される。人手不足で賃金上昇が続く中で、高校授業料無償化や光熱費の補助などによってインフレが落ち着き、実質賃金のプラス化が進むだろう。その結果、日本人が国内旅行したり、耐久財を購入したりするなど、個人消費が回復に向かうと見ている。

 

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