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公募株式投信(除くETF)、4.1%増の146兆円=2カ月連続で増加し、過去最高を更新-6月の投信概況

2025年07月14日 08時30分

 

 投資信託協会がまとめた2025年6月の投信概況によると、公募株式投信(除くETF)の純資産総額は、前月比4.1%増の146兆7004億円だった。2カ月連続で増加し、過去最高を更新した。

 一方、公社債投信やETFを含む公募証券投信全体で見ると、純資産総額は前月比3.6%増の254兆3247億円となった。こちらも2カ月連続で増加し、過去最高を更新した。

 月間の新規設定は40本、償還は27本だった。この結果、運用中のファンド本数は前月末比13本増加して、5779本になった。

◆25カ月連続で資金流入超=公募株式投信(除くETF)

(出所)投資信託協会(出所)投資信託協会(クリックで表示)

 公募株式投信(除くETF)の資金増減額は、5743億円の純資金流入と25カ月連続で流入超となった。少額投資非課税制度(NISA)を通じて個人投資家の資金流入が続いている。ただ、米国と各国の関税交渉が続いており、経済の先行きが不透明なため、前月(9496億円の純資金流入)に比べて純流入額は縮小した。

 公募株式投信(除くETF)の運用増減額は、国内外の株価上昇を受けて、プラス5兆3831億円と好調だった。6月末は、日経平均株価が前月末比6.6%、NYダウも同4.3%、それぞれ上昇した。月末の円相場は1ドル=144円81銭となり、前月末(同143円87銭)と比べて、小幅の円安になった。

◆「設定」、過去1年の平均を下回る

(出所)投資信託協会(出所)投資信託協会(クリックで表示)

 公募株式投信(除くETF)の純資金流入額を「設定」と「解約・償還」に分解すると、「設定」は2兆9456億円だった。過去1年間の平均(3兆5529億円)を下回った。

 一方、「解約・償還」は2兆3713億円で、こちらは過去1年の平均(2兆2246億円)を上回った。ただ、6月は規模の大きなファンドが満期償還したため、償還額が1000億円超の規模になり、「解約・償還額」が増加した要因の一つになった。

◆海外株式型や内外株式型など、資金流入がやや鈍化

(出所)投資信託協会(出所)投資信託協会(クリックで表示)

 主要な商品分類別に資金増減額を見ると、「海外株式型」「内外株式型」「内外資産複合型」は資金流入が続いているものの、いずれも純資金流入額が減少した。例えば、「海外株式型」は3111億円の純資金流入と、2023年11月(2891億円)以来の低い水準だった。

 一方、「国内株式型」は、2カ月連続で流出超になった。

◆経済の不確実性が高まり、設定額が減少=6月の資金動向

 杉江潤副会長は、純資金流入額が減少していることについて、「大きな償還があったことを勘案すると、『解約・償還』は、過去1年間の平均額とほぼ同水準だ。一方で『設定』は、過去1年間の平均額を大きく下回っており、純資金流入額が減少した要因になっている」と分析した。

 「商品分類別に純資金流入額をみると、『海外株式型』の減少幅が大きい。トランプ米大統領が打ち出した関税政策などで、経済の先行きに不確実性が高まっていることを反映して、設定額が減少しているのではないか」と指摘した。

 その上で「全体として見ると、新NISAによる『貯蓄から投資へ』の資金シフトは、継続していると考えている。引き続き、公募投信の資金動向を、注視していきたい」と述べた。

◆金融庁レポート、プロダクトガバナンスに言及

 また、杉江副会長は、金融庁が6月27日に公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2025」について、「資産運用業界については、プロダクトガバナンスを徹底するようにご示唆をいただいており、真摯に受け止めて対応していきたい」と述べた。

 同レポートでは、それ以外に、確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)が取り上げられた。「これまでプログレスレポートは、投資信託を中心に書かれてきたが、企業年金が取り上げられたことは、意義深いことだと評価している」(杉江副会長)と述べた。

 金融庁は、資産運用の機能を提供するさまざまな金融機関について横断的なモニタリングを実施しており、その内容を「プログレスレポート」にまとめて毎年、公開している。

 今年のレポートでは、プロダクトガバナンス(商品の組成・運営・品質管理に関する統治)について「大手運用会社において、主に不芳ファンドの抽出・対応等を進められてきたが、そもそも組成商品が不芳ファンドとならないようにするための、商品ライフサイクルを通じた適切な品質管理に課題が見られた」と指摘された。

 

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