「買い控え」と「戻り売り」で純資金流入額が減少=2025年上半期の投信動向-モーニングスター・ジャパン
2025年07月17日 09時30分

モーニングスター・ジャパンは、「2025年上半期の投信市場動向」をテーマに勉強会を開催した。
公募株式追加型投信(除くETF、確定拠出年金専用、SMA/ファンドラップ専用ファンド)の純資金流入額は、4月(1兆2068億円)に比べて、5月は7266億円、6月は3565億円と減少した。これについて、元利大輔マネジャーリサーチ部長は、「市場の不透明感の高まりなどを背景に『買い控え』の動きが見られる。また、4月に急落した相場が反転して上昇する中で『戻り売り』が出ているようだ」と分析した。その上で「長期投資の観点から見ると、こうした短期的な資金動向に過度に注目する必要はないだろう」と述べた。
1月の純資金流入額は1兆9333億円と大きかった。これについては「25年分の成長投資枠を利用できるようになったタイミングで、一括して購入した投資家もいたのかもしれない。ただ、成長投資枠であっても、時間分散を意識し、例えば四半期ごとに分割して購入するなどの工夫をすると、より安定した資産運用につながるだろう」とアドバイスした。
個別ファンドの動向については、「低コストのインデックスファンドや、毎月分配型の株式投信が人気を集めていることに変わりはないが、市場の不確実性が高まる中で、金(ゴールド)に投資するファンドが、ランキングの上位に入ってきた」と指摘した。
◆プライベート資産が資金集める-新設ファンド
新設ファンドについては、プライベート資産に投資するファンドが資金を集めた。元利氏は、「米国の『インターバルファンド』と同じようなイメージで、解約や購入に制限がある。プライベート資産への投資に当たっては、流動性のリスクをしっかりと投資家に伝えることが大切だろう」と述べた。
◆NISA買付額、6.6兆円=2025年1-3月
金融庁のまとめによると、2025年第1四半期(1-2月期)のNISAの買付額は6.6兆円だった。内訳を見ると、『成長投資枠』が5兆円(前年同期は5.1兆円)、つみたて投資枠が1.6兆円(前年同期は1兆円)だった。
元利氏は「『つみたて投資枠』を使った買付額が着実に増加している。個人投資家が積み立て投資を通じて資産形成を行い、『貯蓄から投資へ』の流れを起こしている表れではないか」と分析した。
◆インベスターリターン、「つみたてNISA/つみたて投資枠」は10.9%
モーニングスター・ジャパンが、投資家の資金の出し入れを勘案したインベスターリターンを算出したところ、「つみたてNISA/つみたて投資枠」は制度開始から2023年末までの間、年率10.9%のリターンを上げていることが分かった。
2024年末のインベスターリターンは、同年1月に新NISAがスタートし、大きな資金が流入したことで、年率5.8%にとどまった。
元利氏は「2023年末まで、同じ期間の世界株指数のリターンを計算すると年率10%程度になった。『つみたてNISA/つみたて投資枠』は、これを上回るリターンを上げている。こうした成功体験が、『つみたて投資枠』による買付額の拡大につながっているようだ」と指摘した。