日本の個人投資家、6割強が「投資計画は変更しない」=アジア・太平洋地域でトップ、NISA効果で長期投資が育つ-フィデリティ調査
2025年07月22日 07時00分

フィデリティ投信が「アジア・パシフィック個人投資家調査」で、今後12カ月間の投資行動を尋ねたところ、日本の個人投資家の64%が「現在の投資計画は変更しない」と回答した。全体平均の48%を大きく上回り、地域中でトップだった。
調査は5月下旬に、日本、中国本土、香港、台湾、シンガポール、豪州の18~69歳の個人投資家6526人に実施した。4月にトランプ米大統領が新しい関税政策を公表、世界の株式市場が急落し、経済の先行きが見通しにくくなった時期だった。
フィデリティ投信では「2024年に拡充された少額投資非課税制度(NISA)の効果で、長期投資のマインドが確実に醸成されており、不透明な市場環境が続く中でも冷静に投資を継続し資産を築こうとする、たくましい投資家が増えていることが見て取れる」と分析した。
◆投資期間は「5年以上」が6割、期待リターンの平均は6.8%

調査の中で、日本の投資家に「投資期間」を尋ねたところ、「5年以上」が58%でトップだった。また、「投資の目的」についても、51%が「長期視点での資金の積み立て」と回答しており、長期投資が定着しつつあることが確認できた。
一方、長期投資における期待リターンは、「5%以下」が46%、「6-10%」が33%で、全体平均は6.8%だった。
フィデリティ投信では「短期的な利益や極端なハイリターンを志向している投資家はごく一部で、全体としては、規律を持った、控えめで堅実な投資行動を取っていることが分かった」と分析した。
◆NISA拡充、半数強が期待

政府が、高齢者を対象とする「プラチナNISA」や、未成年者向けの「子ども支援NISA」を検討していることについては、「(自分が)対象者なら利用したい」(38%)、「プラチナNISAが毎月分配型ファンドに対応するなら利用したい」(9%)、「子ども支援NISAを利用したい」(7%)などとする回答があり、合計すると半数強がNISAの拡充に期待を寄せていることが分かった。
◆日本の資産運用市場は望ましい方向へ=重見氏
フィデリティ・インスティテュート 首席研究員 マクロストラテジストの重見吉徳氏は、調査結果について、「日本の投資家は、(過去に何度も繰り返してきたような)典型的な投資家心理に陥ることなく、既存の制度やその変化の方向を理解・予見しつつ、資産運用を継続する姿勢が見られる」と分析。
「全体として、日本の資産運用市場は望ましい方向に向かっているように見える。今後とも、金融リテラシーの高い投資家のベースが拡大していくことが期待される」と評価した。