低コスト・インデックスファンドに資金流入=「『貯蓄から投資』をけん引」と評価-モーニングスターがNISAレポート
2024年04月05日 08時30分
金融調査会社のモーニングスター・ジャパンは、1月にスタートした新しい少額投資非課税制度(NISA)の最初の第1四半期(1-3月)の状況をまとめた調査レポートを発表した。それによると、純資金流入額のトップは、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」で7628億円だった。低コストの株式インデックスファンドや、半導体関連株式ファンド、インド株式ファンドなどが人気だった。
元利大輔マネジャー・リサーチ部長は、低コストのインデックスファンドが投資家の支持を集めていることについて「合理的であり、『貯蓄から投資への流れ』をけん引していることは評価されるべきである」と指摘した。
その上で「長期投資の観点で安定した資産形成を行うために、今後は株式だけではなく分散投資の考え方が個人投資家にもっと浸透することが期待される」とコメントした。
◆3兆8207億円の純資金流入-NISA対象ファンド
第1四半期の公募株式投信への純資金流入額は4兆0130億円だった。四半期ベースで4兆円を超えるのは、2007年以来17ぶりになる。新しいNISAが、資金流入をけん引しており、NISA対象ファンドの純資金流入額は3兆8207億円だった。
◆過去のパフォーマンスを評価-ファンド選択で
それぞれのファンドについて、過去の運用実績を分析した「モーニングスター・レーティング」の評価を見ると、最高レベルの「5つ星」や「4つ星」を取得したファンドへの資金流入が目立った。
元利氏は「投資家がファンドを選定する際に、過去のパフォーマンスを参考にするようになっている表れであり、このような投資行動はファンドの運用者に良い緊張感をもたらし、日本の投信市場がより健全に発展していくことに大きく寄与するだろう」と評価した。
◆リスクの自覚を促し、投資を継続するサポートを
元利氏は、NISAを活用した資産運用の考え方について「足元の運用成績のみではなく、ここから資産形成・活用を目指す『長い投資の始まり』と位置づけて考えるべきだ」とアドバイスした。
また、投信関係者に対して「ボラティリティ(リスク)についての投資家の自覚を促し、必要に応じて資産の分散をすすめるなど、どのような市場局面にあっても投資を続けられるような情報提供やサポートがますます重要になろう」と指摘している
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