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〔マーケット見通し〕世界経済の回復続く、マーケットに過熱感ない-日興アセット・神山氏

2020年10月15日 15時00分

神山直樹チーフストラテジスト

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2020年秋号を発表した。神山直樹チーフストラテジストは、世界経済について「マーケットが事前に想定していたペースで回復している」と分析した上で、株式市場の状況については「株価が先に回復し、実体経済がそれに追い付く展開になっている。過熱とか、バブルといった感じはない」と指摘した。

 神山氏=世界経済は、需要の中心地である米国経済の改善が世界に広がるかたちで回復に向かっている。米国では、コロナショック後、約2カ月で約2000万人の雇用が失われたものの、その後は回復に転じ、4カ月で約1000万人の雇用が回復した。これはマーケットが想定した回復のペースだ。

 米国の家計所得は、補助金の支給によって全体として増え、小売売上高も回復してきた。米国の輸入が増加に転じたことで、日本やドイツ、中国などは輸出が増えており、各国経済も安定を取り戻してきた。

 世界経済のさまざまな指標が回復を示す中で、企業収益が通常の状態に戻ることを想定して株式市場が上昇し、値動きが安定していることは、別段、バブルでもないし、適切と言えるだろう。現状は、まず先にマーケットの水準が回復し、実体経済がそれに追いつこうとしている状況だ。

 投資家の皆さんとお話ししていると、飲食業や小売りなど日常生活で目に見える産業の落ち込みが大きいため、経済の先行きについてネガティブに見過ぎてしまい、暗いイメージを持っている方が多いように思う。ただ、たとえコロナウィルス感染の第2波が来たとしても、世界各国の政策担当者や企業経営者は、第1波の経験を生かして、経済活動を継続しながら、感染拡大を防ぐ手だての準備を進めている。

 金利の見通しだが、米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今後の政策運営について、インフレ率が目標の2%を一時的に上回ることを容認する方針を打ち出しており、ゼロ金利は長期化する見通しだ。一方で、金利をさらに引き下げることは、銀行の収益環境を悪化させ、金融システムを不安定化させる恐れがある。このため、 各国の政策金利は横ばい圏で推移すると予想しており、円相場も安定しているだろう。

 11月3日には、米国大統領選挙が予定されている。ただ、共和党のトランプ大統領、民主党のバイデン候補のどちらが勝利しても、米国経済の成長率予想に大きな変化はないと見ている。選挙結果が接戦になれば新大統領の就任が遅れることが懸念されるが、短期的にマーケットのボラティリティ(変動率)が高まることがあっても、長期的にマーケットを揺るがすようなことは起きにくいと考えている。

【参考】日興アセットマネジメント「KAMIYAMA View」
https://www.nikkoam.com/products/column

【参考】日興AMファンドアカデミー(「グローバル・フォーサイト」を掲載)
https://www.nikkoam.com/fund-academy

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