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投資哲学とは何か=運用会社の「魂」、投資家の「人生の鏡」-楽天証券「26 th Anniversary FES」で座談会

2025年08月08日 07時00分

(右から奥野氏、伊井氏、鎌田氏、中野氏)(右から奥野氏、伊井氏、鎌田氏、中野氏)

 楽天証券(本社東京、楠雄治社長)はこのほど、個人向けに講演会やセミナーを終日行う「26 th Anniversary FES」を開催した。この中で、独立系運用会社の社長らが「投資哲学と投資先の選び方を徹底解説」をテーマに座談会を開き、投資哲学が運用会社と個人のそれぞれに重要なことを強調した。主な発言は以下の通り。

 この座談会を含む「26 th Anniversary FES」の模様は、オンデマンドで配信している。座談会では、投資哲学のほか、良い株式をじっくり保有する投資手法や投資家とのコミュニケーションの重要性について話している。

 また、トウシルYouTubeで、毎週金曜日に新番組「ファンドマネジメント・ハック」を公開中だ。プロの視点や資産管理ノウハウを“ハック”し、投資の理論を学ぶ番組になっており、座談会に参加した4人も登場している。

◆投資哲学とは

ファンドマネジメント・ハック


中野晴啓氏(なかのアセットマネジメント社長)

 投資哲学は、運用者が一番大切にしているものだ。投資とは、投資家それぞれの「意志」をお金に込めて、いわば産業資本として経済活動の中に出していくことだ。企業は、その資金を活用して、大きな価値を創り出し、世の中に供給する。その成果は、資金の出し手である投資家にリターンとして還元される。この循環を生み出す「意志」こそが、投資哲学だ。インデックス運用にはないもので、アクティブ運用の魅力だ。

鎌田恭幸氏(鎌倉投信社長)

 投資哲学は、運用会社とっては「魂」だ。社会情勢は日々変化するが、その中にあっても「変わることのない信念」だ。ある種の共感性を持ち、本質を見極める強さを持っている。一方、一人一人の個人投資家にとっての投資哲学は、自分なりの「投資の軸」を持つことだと思う。資産形成は、長期に続ければそれだけ効果が大きくなる。長く続けるための判断軸を持つことが大切だ。

伊井哲朗氏(コモンズ投信社長兼最高投資責任者)

 レストランを選ぶのに似ている。コンセプトのしっかりした店に行きたいことがある。投資信託は目に見えないものだが、運用会社はそれぞれの思いを込めて、こういう志で、こういう世の中を作りたいので、こういう企業に投資をするという投資哲学を持っている。運用会社はそれをしっかり投資家に説明しなければいけない。投資家の皆さんが、その中で何かに共感できたら、それを選んでもらうのがいいだろう。

奥野一成氏(農林中金バリューインベストメンツ常務取締役兼最高投資責任者)

 個人投資家にとって「儲かればいい」というのも一つの投資哲学だろう。ただ、資産運用する目的、人生における位置づけについて、どう考えているだろうか。自分は、どういう投資信託に囲まれて生きたいだろうか。自分が死んだ後に、保有していた株式や投資信託を通じて、お子さんたちにその人の人生が浮かび上がってくるのではないか。お金のバランスシートは「人生の鏡」だと思う。どういう考え方で、どういう企業に投資したか。それによって社会が良くなったら、こんなに素晴らしいことはないと思う。

26 th Anniversary FES

 

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