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新NISA対象ファンド、約2000本=最長寿は1968年設定、野村AM「積立て株式ファンド」

2023年12月27日 13時30分

(出所)投資信託協会の「NISA成長投資枠の対象商品」より時事通信作成(出所)投資信託協会の「NISA成長投資枠の対象商品」より時事通信作成(クリックで表示)

 来年1月にスタートする新しい少額投資非課税制度(NISA)で投資できるファンドが出そろった。投資信託協会は、運用会社から申請のあったファンド約2000本のリストをホームページに掲載した。長期投資にふさわしいファンドとして、信託期間が20年を超えるなどの条件を満たしたファンドなどがリスト入りした。

 このリストをファンドの設定日の古い順に並べると、ご長寿トップは1968年12月に設定された野村アセットマネジメントの「積立て株式ファンド」だった。設定から55年になった。同社運用部(グローバルソリューショングループ)シニア・インベストメントオフィサーの上崎勲氏に、このファンドの話を聞いた。

◆現存する日本最古の株式インデックスファンド

-「積立て株式ファンド」についてご紹介ください。

上崎勲氏


上崎氏 このファンドは現存する日本最古の株式インデックスファンドであり、かつ日本初の累積投資専用ファンドです。設定当初はアクティブファンドでした。

 ちなみに、当社の追加型投信の第1号は、1960年12月設定の「第一オープン」というファンドになります。「積立て株式ファンド」の設定された1968年当時、当社においても追加型の新商品が次々に登場しました。

◆ドルコスト平均法を活かす「積立て専用」

-このファンドの誕生の経緯を教えてください。

上崎氏 1960年代前半は株価下落・証券不況であり、投資信託業界も厳しい向かい風を受けていました。その後、国内景気の回復や、資本の自由化による外国人株式取得の拡大などで株価が回復、投資信託にも追い風となりました。

 市場環境が大きく変化する中、ドルコスト平均法を活かして投資するために積立て専用とした当ファンドが生まれました。当時は、一部外国株を組み入れることも可能な、アクティブ運用の日本株ファンドでした。

◆インデックス運用の先駆け

-月報には「80年8月から日経225連動型の運用に移行」とあります。運用方針変更の理由を教えてください。

上崎氏 1979年におこった第二次オイルショックを背景に、資源株への資金移動が起きたため、当時の各種投資信託の組入れの中心となっていた優良銘柄が値下がりしました。その影響で株式投信の人気が停滞したことから、業界全体で投信の魅力を高める機運が高まり、インデックス運用が登場しました。

そして、インデックスファンドの設定が業界で相次ぐこととなりましたが、当ファンドはその先駆けでした。日経225に連動する投資効果を目標として運用を行うように約款を変更しました。

◆日本経済の成長と変化を体現

-このファンドの歩みについてお話ください。

上崎氏 設定当初からパッシブ運用に移行するまでの1970年代は、高度成長期を経て日本経済の成長も一段落していました。オイルショックやベトナム戦争、公害問題の表面化など、社会情勢に影響を与える問題があった中でも、長期的には右肩上がりに成長していましたので、当ファンドのパフォーマンスも下落する局面こそあったものの、設定当初から分配金を再投資した場合で2.5倍以上の成長を遂げました。

◆長期的にポリシーや手法を継承

-長期の運用を可能にする工夫について教えてください。

上崎氏 チーム運用を旨とし、日頃からチームメンバー間で運用ポリシーや運用手法を共有することで、メンバーの入れ替えや組織変更等の影響を受けず、長期的にポリシーや手法が継承されていく体制としています。

◆ファンドに対する長期のコミットメント

-このファンドの役割についてお聞かせください。

上崎氏 「積立て株式ファンド」は50年以上の運用実績があるご長寿ファンドで、当社の歴史を物語るファンドの一つです。こういったファンドをご覧いただくことで、当社のプロダクトに対する長期のコミットメントを受益者の皆様にお分かりいただけるのではないでしょうか。

 当ファンドのほか、低コストインデックスファンド「はじめてのNISA」シリーズなど、当社では日本株式に投資するさまざまなインデックスファンドを提供しています。これからもお客さまの長期の資産形成に貢献できるよう、時代に応じて新たに生まれたお客さまのニーズに対応する新しいファンドも提供していきます。

 

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