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日本株の代表セクターに投資=設定から約40年、野村AM「情報エレクトロニクスファンド」

2023年12月28日 09時30分

(出所)投資信託協会の「NISA成長投資枠の対象商品」より時事通信作成(出所)投資信託協会の「NISA成長投資枠の対象商品」より時事通信作成(クリックで表示)

 来年1月にスタートする新しい少額投資非課税制度の(NISA)の対象ファンドが出そろった。ファンドのリストを設定から古い順に並べると、野村アセットマネジメントの「情報エレクトロニクスファンド」は、長寿ファンドで第5位だった。1984年の設定で、運用開始から約40年になる。チーフ・ポートフォリオマネージャーの福田泰之氏に、このファンドの魅力を聞いた。

◆ITを成長の源泉に、高いパフォーマンス

-「情報エレクトロニクスファンド」についてご紹介ください。

福田氏 電気機器、精密機器などエレクトロニクスに関連する企業群や、情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連する企業群に投資するアクティブファンドです。

福田泰之氏


-このファンドのパフォーマンスを教えてください。

福田氏 1984年2月のファンド設定来から2023年11月末までの騰落率は+439%です。

 当ファンドのベンチマークはありませんが、TOPIX(配当込み)と比較すると、この指数が取得可能な1989年1月末から2023年11月末まででは、当ファンドの騰落率が+357.0%となり、TOPIX(配当込み)の+61.7%を大きく上回りました。

 ただ、ファンドの運用方針で説明しましたように、特定の業種に偏った投資を行うため、短期的にパフォーマンスの振れ幅が大きくなることがありますので、長期の保有をおすすめします。

-高いパフォーマンスの理由をどうご覧になっていますか。

福田氏 ITは、長期的な成長の源泉と考えています、当ファンドを設定した1980年代は、日本が半導体立国として世界を席巻しました。その後、インターネットの出現やモバイル通信の進展を経て、ハード・ソフトともに様々な技術革新が社会の変化をもたらし、ITは、そうした変化に柔軟に対応する企業の成長を促しました。

 足元では生成AIなどの新しい技術も立ち上がりつつあります。ITを中心に技術革新は、今後も確実に起こると考えており、長期的な成長の源泉と考えます。

◆技術革新に資する投資を継続

-多くのファンド賞を受賞している理由をどう分析していますか。

福田氏 ITを中心とした技術革新に資する日本企業への投資を、長年の投資経験などを基に、しっかり継続できていることが主因と考えています。

-ITバブル崩壊やリーマンショックなど経済危機から学んだことをお聞かせください。

福田氏 長年の経験で学んだことは沢山ありますが、短期的に資本市場で起こっていることに十分に注視しつつも、中長期的な視野を持ち信念(投資哲学)に基づいた運用をコツコツ継続することが重要な要素であると考えます。

-長期の運用を可能にする工夫について教えてください。

福田氏 運用者の個性は尊重しつつも、中長期的なパフォーマンスのために運用の継続性を意識した組織的な運用体制構築に努めています。

◆「良い」銘柄に資産に投資、市場全体を上回る成果を期待

-長寿のアクティブファンドの魅力をお聞かせください。

福田氏 過去の実績は将来を保証するものではありませんが、長年にわたり多くのお客さまから支持を得てきた長寿ファンド自体に価値があると考えています。

 また、インデクスファンドは全銘柄に機械的に投資をするので、必ずしも「良い」銘柄だけに投資するわけではありません。アクティブファンドを通じて「良い」銘柄に資産を投じることで、市場全体を上回る投資成果を期待できることがアクティブファンドの魅力だと考えます。

 加えて、米国株市場などと比べ、日本株市場は超過収益を得られやすいこともアクティブファンドに投資する意義・魅力と考えます。

 野村アセットマネジメントが「eVestment」のデータを用いて集計したところ、2010年から2022年の平均で日本株アクティブファンドの対ベンチマークでの勝率は6割弱でした。一方で、米国株アクティブファンドの勝率は5割強となり、各年で見ても総じて日本株アクティブファンドは、米国株アクティブファンドよりも超過収益を獲得できていました。

-いろいろな戦略のアクティブファンドがありますが、「情報エレクトロニクスファンド」の役割についてお聞かせください。

福田氏 テクノロジー関連の日本株ファンドとして、また、日本株の代表セクターに投資するアクティブファンドとしての役割があります。

 成長の源泉のところでお話したように、長期的テーマを持つファンドです。加えてTOPIXにおける電気機器(11月末現在、東証33業種)の比率は17.3%と全業種で最も高く、日本株を代表するセクターです。

 

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