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「長期・積立・分散」の疑問に答える=「新NISA」をどう活用-38万人超が利用するロボアド、ウェルスナビの柴山氏が新著

2023年12月15日 13時30分

新しいNISA投資の思考法

 ロボットアドバイザー最大手ウェルスナビの柴山和久社長は、新著『新しいNISA投資の思考法 お金の悩みから解放される 正しい「長期・積立・分散」のはじめ方』を出版した。

 セミナー等で長年、個人投資家に接してきた経験を生かし、「長期・積立・分散」の考え方や、実践する際の留意点を分かりやすく解説している。また、制度の恒久化や非課税限度額の拡充で、使い方の自由度が増した少額投資非課税制度(NISA)の特徴を生かして、上手に活用する方法をまとめている。

 ウェルスナビのロボアド「WealthNavi」は、コンピューターが自動で資産配分し、株式や債券、不動産など世界約50カ国の1万2000銘柄に投資する。毎月1万円から自動で積立投資ができることから、手軽に「長期・積立・分散」を実践するツールとして38万人超が利用しており、預かり資産は11月に9500億円を突破した。また、いち早くNISAに対応した機能「おまかせNISA」を開発し、新NISAにも対応する。

◆10年以上、積立投資で、世界のアセットに分散

 「長期・積立・分散」とは、何だろうか。柴山氏は「世界の富裕層や機関投資家が実践してきた、最もスタンダードな投資の方法だ」と紹介している。①10年以上の長い時間をかけて ②同じ間隔でお金を投じて ③世界中に資産を分ける-ことで、リスクを抑えて資産を増やすことを目指せる、と提唱する。

 世界の富裕層や機関投資家は、この方法でリーマンショックやコロナショックなどの経済危機を乗り越え、資産を成長させてきた。柴山氏は「『これからも何度も経済危機は訪れるかもしれない』という前提で考えることが合理的で現実的だ」と指摘する。

◆継続を妨げる「三つの罠」

 投資初心者にとって「資産形成をスタートする」というハードルをクリアしても、その先に「投資を継続する」という大きな課題が待ち構えている。これについても、柴山氏は「WealthNavi」を通じて多くの投資家に接してきた経験を生かし、投資初心者に寄り添ったアドバイスをしている。

 具体的には、(1)資産形成を始めたばかりの時期 (2)金融危機でリターンが急に減ったタイミング (3)急減したリターンが回復したとき-の「三つの罠」に分けて、それぞれの時期に陥りやすい投資家心理を分析している。「長く続けるほど、リターンが安定し、長期投資の効果を実感しやすくなる。長期投資を成功させるためには、そうした時期まで、いかに我慢できるかが重要だ」と指摘する。

◆新NISAのジレンマ

 新しいNISAは、1800万円の生涯の非課税枠を全て利用しようとすると、そのうち600万円は「つみたて投資枠」で投資しなくてはいけない。ただ「つみたて投資枠」の対象商品は、大部分が株式に投資する投資信託に限定されているため、十分な分散投資を行いにくい。これが「新NISAのジレンマ」だ。

 一方、「成長投資枠」は、対象商品が幅広く、分散投資を柔軟にできる上、一括投資も、積立投資も可能だ。本の中で柴山氏は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を組み合わせて、上手に分散投資する方法を提案している。ウェルスナビの「おまかせNISA」も、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を組み合わす。

◆目指すのは「さまざまな資産に分散投資」

 本書の中で、柴山氏は重要な注意喚起をしている。「日本特有の事情として、なぜか特にNISAになると、『株式だけで、積立投資をしておけばいい』という意見が、特にネット上で多く聞かれる」と指摘した。

 柴山氏は、株式や債券に分散投資し、ライフステージに合わせて株式中心から債券に比重を置いたポートフォリオに組み替えていくグローバルな運用スタイルを紹介した上で、「資産運用の額が増えてきた場合には『株式だけ』から卒業して、債券など、株式以外の資産にも幅広く投資していくことが大切だ」とアドバイスしている。

 

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