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公募投信残高、189兆円=9カ月ぶりに減少-9月の投信概況

2023年10月16日 09時30分

 

 投資信託協会がまとめた9月末の公募投信残高は、前月比0.5%減の189兆0901億円となり、9カ月ぶりに減少した。また、日銀や機関投資家が多く保有する上場投信(ETF)を除いた残高は、前月比1.2%減の100兆3583億円となり、こちらも9カ月ぶりに減少した。

(図1)(出所)投資信託協会(図1)(出所)投資信託協会(クリックで表示)
(図2)(出所)投資信託協会(図2)(出所)投資信託協会(クリックで表示)
(図3)(出所)投資信託協会(図3)(出所)投資信託協会(クリックで表示)

 9月は、国内外の株価が低下したことで運用損益が減少した。ただ、投資家の資金動向を見ると、公募投資(除くETF)の純資金流入額は1兆1379億円と、過去1年間の平均(6107億円)を上回る規模で、4カ月連続の流入超過となった。引き続き、国内外の株式に投資するファンドやバランス型ファンドが人気だった。

◆新設ファンド73本、新NISAに向け増加

 9月の新規設定ファンドは73本で、2016年9月の105本以来の高水準になった。このうち、来年1月にスタートする新しい少額投資非課税制度(NISA)の成長投資枠の対象ファンドが46本を占めた。9月は、連動指数のないアクティブ運用型上場投資信託(ETF)が初上場した。

◆ESG投信、7月末で4兆2799億円

 7月末時点で、ESG(環境・社会・ガバナンス)投信が227本、純資産総額で4兆2799億円に上ることが分かった。「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」を受けて、協会が運用会社にアンケートを実施した。ESGを投資選定の主要な要素としていて、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」にそのことを記載しているファンドなどを対象とした。

◆「投資信託の改革」「資産運用業の改革」を推進

 この日の記者会見では、杉江潤副会長が資産運用立国の実現に向けて、協会の基本的な考え方を説明した。「投資信託の改革」と「資産運用業の改革」の二本柱だ。

 投資信託の改革では、「国民が安心して資産形成に取り組める環境を整備し、資産形成のさらなる促進に貢献する。また、家計の金融資産所得を増やすだけでなく、企業の成長を支えるリスクマネーの円滑な供給に努めていく」。具体的には、投資資産の多様化や、確定拠出年金(DC)の改革、金融教育の拡充などを進める方針。例えば二酸化炭素排出権など新しい投資対象の追加などを検討していく。

 また、資産運用業の改革では、「運用会社が国民からさらに信用される存在となることを目指し、インベストメントチェーンにおける資産運用会社の役割や責任を全うしていく」。具体的には、運用会社の多様化、国内外からの人材獲得、運用会社の高度化・効率化などを推進する。具体的には、「基準価額の一者計算」「業務の外部委託」「投資信託の設定・解約データの集中管理機関の創設」などを検討していく。

松下浩一会長

 松下浩一会長は「政府が一体となって資産運用改革を進めることで、資産形成に対する一般国民の意識は高まってきており、『貯蓄から投資への流れ』が太くなることが期待される」と指摘した。これらの考え方は、10月3日に開催された金融審議会の資産運用に関するタスクフォースで、協会が説明した。


【金融庁】 金融審議会「資産運用に関するタスクフォース」(第1回)の開催について
https://www.fsa.go.jp/news/r5/singi/20231003.html

【投信協会】ホームページ
https://www.toushin.or.jp/index.html

 

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