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新NISA、勤労者の半数が「大幅拡充を知っている」と回答=利用者の3割が「投資額を増やす」-フィデリティ調査

2023年10月13日 10時20分

浦田春河フィデリティ・インスティテュート首席研究員

 フィデリティ投信がまとめた「第10回ビジネスパーソン1万人アンケート」によると、来年1月にスタートする新しい少額投資非課税制度(NISA)について「制度が大幅拡充されることを知っている」と回答した人は54%と約半数を占めた。

 調査は7月に、全国の勤労者1万0854人に実施した。この中で現行の「一般NISA」や「つみたてNISA」を利用している人は3933人と約4割だった。

 現行制度を利用している人に、新NISAでの投資予定額を尋ねたところ、今よりも多い投資額を回答した人は、1060人と約3割を占めた。また、現行の「一般NISA」で上限枠まで投資している人の約半数、「つみたてNISA」で上限枠まで投資している人の2割が、「新NISAでも上限枠(360万円)まで投資する予定だ」と回答した。

新NISAの認知度新NISAの認知度(クリックで表示)
現行NISA利用者ベース現行NISA利用者ベース(クリックで表示)
現行一般・つみたてNISA上限利用者は、新NISAでいくら投資予定か現行一般・つみたてNISA上限利用者は、新NISAでいくら投資予定か(クリックで表示)
投資行動の変化投資行動の変化(クリックで表示)
投資を増やした理由 vs 減らした理由投資を増やした理由 vs 減らした理由(クリックで表示)
「投資金額を増やした人」と「投資を始めた人」との理由の違い「投資金額を増やした人」と「投資を始めた人」との理由の違い(クリックで表示)

 浦田春河フィデリティ・インスティテュート首席研究員は、調査結果について「新NISAの認知度は高く、非課税枠の拡大につれて投資金額を増やす機運が高まっていることが分かった」と指摘。「投資のマグマはたまっており、新NISAにはかなりの資金流入が期待される」と分析した。

◆投資家比率は51%=「金額増やした」10%、「投資始めた」8%

 調査によると「現在投資をしている人」の割合は51%で、約半数を占めた。内訳をみると、「これまで通りに投資を継続」が29%、「投資金額を増やした」が10%、「投資を始めた」が8%だった。「投資金額を減らした」は4%にとどまった。

◆インフレ、相場変動が両方の理由に=投資を増やす・減らす

 投資を増やした理由を複数回答で尋ねたところ、「インフレが進み、預貯金だけでは資産が目減りしてしまうと思う」がトップで40%を占めた。また、「株式市場や為替相場の変動が激しく投資には良い機会だと考えたため」が28%だった。「収入減など思わぬ事態になって投資の重要性に気が付いたから」も16%いた。

 一方、投資を減らした理由(複数回答)を見ると、「支出が増えて投資に回せるお金が減ったから」がトップで40%を占めた。「収入減など思わぬ事態になって投資をする余裕がなくなったから」も32%いた。また、「株式市場や為替相場の変動が激しくなり、投資が怖くなったから」は24%だった。

 浦田氏は、「投資を増やした理由も、投資を減らした理由も、インフレがきっかけになっている。変動の激しい相場を見て、チャンスと考える人も、怖くなったという人もいることが分かった」と指摘した。

◆世の中が投資をする雰囲気になってきた

 投資を始めた人に理由を聞いたところ、3位に「世の中が投資をする雰囲気になってきたから/友人・知人が始めたから」(29%)が入った。浦田氏は「日本人は周りの影響を受けやすいとい言われるが、こうした心理的な要因も投資家を広げるドライバーになるかもしれない」と指摘した。

 

 

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