「自分に合った資産形成ができている」は2割だけ=残り8割に相談ニーズ-400F「オカネコ」調べ
2023年10月06日 11時20分
家計診断・相談サービスの「オカネコ」を展開する400F(本社東京、中村仁社長)がまとめたアンケート調査によると、「自分に合った資産形成ができている」と答えた人は2割にとどまった。残りの約8割の人は、資産形成について相談を必要としていることが浮かび上がった。
回答をみると、最も多かったのは「資産形成を行っているが、追加・見直しを検討している」で約4割。「資産形成に踏み切れておらず、情報収集を含めまだ何も行動に移せていない」も約3割を占めた。
調査は8月、全国の20歳以上の男女1500人に実施。このうち、「資産形成に関心がある」あるいは「資産形成の経験がある」と回答した706人に、それぞれの状況を尋ねた。
◆「何から始めればいいか分からない」が4割
調査ではさらに、悩みの内容を複数回答で尋ねた。トップは「何から始めればいいか分からず、行動に移せていない」が約4割を占めた。次いで「気軽に相談できる相手がおらず、自分に合った資産形成が分からない」が約3割。「相談窓口に行くまでのハードルが高く、行動に移せていない」が約2割だった。
◆相談相手、「AIや診断テスト」がトップ
また、利用したい相談サービスを複数回答で尋ねたところ、「AI(人工知能)や診断テストなど、人を介さず簡単な質問に答えるだけで自分に合った資産運用を提案してくれるサービス」が約5割を占め、最も多かった。次いで「窓口/対面でお金のプロに相談できるサービス」と「オンラインでお金のプロに相談できるサービス」が3割台半ばだった。
中村社長に、調査結果について話を聞いた。
◆情報が多すぎて・・、何を軸に考えたらいいか・・
-調査結果をみて感想は。
中村社長 NISA(少額投資非課税制度)の「文言」としての知名度は確実に高まっている。また、SNS等で、資産運用の方法がさまざまに紹介されているので、こうした情報に接する機会が増えた。また、物価が上昇する中で、何かしなければいけないという認識も高まっている。
だが、「資産形成に踏み切れない」「どうしたらいいか分からない」という人が多い状況は、あまり変わっていない。投資未経験者や初心者の方にとって「情報が多すぎて、何を信じたらいいのか分からない」「何を軸に第一歩を踏み出したらいいか分からない」という状況が続いている。
◆運用内容の見直しニーズも増加
-「資産形成中で見直しを検討している人」も多かったが。
中村社長 資産形成を始めて資産が少しずつ積み上がってきた人の中には、「このインデックスファンドだけの運用でいいのかな」とか、「株式だけでなく債券を含めたポートフォリオにして、バランスを取ることが必要ではないか」などと考える人が出てきており、相談ニーズが高まっていることを感じている。
◆AIに「中立・公正」を期待
-相談の担い手は。
中村社長 相談相手については、若い世代ほどAIに相談したいという意向が強い。「AIはだまさない」「中立・公平に機械的に答えてくれる」という思いがあるのではないか。ただ、人間に相談したくないわけではなく、「もし、何か売り付けられたらどうしよう」「相談はお金がかかるのでないか」と不安に思っている人が多い。
◆最適な相談体制を構築する
-新NISAのスタートに向けて必要なことは。
中村社長 自分一人で資産形成をスタートできる人は多くない。相談体制を充実することが必要だろう。ただ、人間による電話対応だけでは、大量の相談が集中するとパンクしてしまう。相談内容によってチャットボットに任せたり、AIでガイダンスを提供したり、最適な相談体制を構築していくことが大切だろう。
◆気づきを与え、行動を促す
-相談をうまく機能させるために必要なことは。
中村社長 多くの人が潜在的にお金の相談ニーズを持っているが、こうした人たちが、自ら相談に来てくれるわけではない。何か気づきがあって、「これ聞いてみたかった」というような問題意識を持ってもらうことが必要だろう。
例えば、当社の相談サービス「オカネコ」は、家計診断から相談につないでいるので、スムーズに利用いただけているのだと思う。
また、「いきなり人に相談するのは怖い」「だまされないだろうか」と不安に思っている人も多いので、AIで中立・公正なガイダンスを受けて、ある程度知識を持った上で、ファイナンシャル・プランナーに相談したり、自分でネットを使って調べたりしてもらう方が、より納得感を持って資産形成の第一歩を踏み出してもらえるのではないか。