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<マーケット見通し>業績の反転時期を探る展開に-UBS SuMi TRUSTの居林氏

2022年12月13日 10時00分

居林通ジャパン・エクィティ・リサーチ・ヘッド

 富裕層向けにプライベートバンク事業等を展開するUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントは、2023年の世界経済・市場展望を公表した。居林通ジャパン・エクィティ・リサーチ・ヘッドは、来年の株式市場について「企業業績の反転時期を探る展開になるだろう」と述べた。主なポイントは以下の通り。

◆長年の低金利が終焉

-2022年の振り返りは。

居林氏 2022年は、債券も株式も大きく下落する、逃げ場のない年になった。オルタナティブ(代替資産)の重要性が再認識された年でもあった。

 コロナ対策の給付金で需要が拡大する一方、コロナ禍により生産が停滞し、ウクライナ危機によりエネルギー価格が急上昇したことで急激なインフレが発生した。こうした中で、各国の中央銀行は金融政策を転換し、金利は上昇(債券価格は低下)、株価は下落した。

◆分断された世界で、経済安全保障が浮上

-2023年の注目点は

居林氏 来年の注目点は「米国の金融引き締めのピークアウト」「中国の経済再開」「分断された世界経済の立て直しと経済安全保障の確保」の3点だ。

 中国では「ゼロコロナ政策」により工場の稼働が不安定になっている地域もある。ワクチンが広く接種され、経済が本格的に再開するのは来年の夏から秋になると予想している。実現すれば大きなポジティブ・ファクターになるだろう。

 欧州はロシアとのエネルギー依存関係を見直し、自然エネルギーの投資に大きく舵を切った。米国は半導体生産で中国への依存関係を見直している。製造業の立地の再検討を進める中で、日本国内でも設備投資の特需があるかもしれない。

◆業績の底打ち見極め

-来年の株式市場の動向は

居林氏 今年(2022年)は「インフレ」「利上げ」を織り込んで株価が下落し、バリュエーション調整が行われた。

来年(2023年)は、景気が後退する中で「企業業績がどこで底打ちするか」を見極める年になるだろう。「中国の経済再開」「米中関係」「ウクライナ問題」といった外部要因を見ながら、慎重に投資していくことが大切だ。これを乗り越えることで、株式市場は本格的な上昇フェースに入っていくと見ている。

◆日本企業の業績、コロナ前を上回る

-日本企業の業績と株価の見通しは。

居林氏 「TOPIX500(除く金融・ソフトバンク)」で見ると、日本企業の純利益合計額は、円安という追い風もあり、コロナ前の水準を上回っている。「多くの困難を乗り越えて、さらに成長しつつある」というのが、私の意見だ。

 日本株は「コロナ禍からの国内経済の再始動」「国内の設備投資の再始動」という二つのエンジンによって上昇すると見ており、来年末の日経平均株価は2万9000円と予想している。再び3万円に挑戦することもあるだろう。ただ、ウクライナ情勢など不透明な材料もあるので、下値の目安は2万4000円程度と見ている。

◆サービス業、金融業、グロース株に注目

-日本株の注目テーマは

居林氏 一つ目は「コロナ禍後のサービス業の回復」だ。水際対策の緩和により、国内のみならず海外からの旅行者も、増加すると見込んでいる。

 二つ目は「日本の金融業の再評価」だ。日本の金融業の成長力は大きくないものの、その健全性と高い配当利回りが過小評価されている。店舗のデジタル化やシステム統合、アジア展開を進めている金融機関もあり、日銀が金融政策を見直すことで再評価される可能性がある。

 三つ目は「グロース株(成長株)の再チャレンジ」だ。米利上げでグロース株は大きく下落したが、利上げの終了が見えてくれば、グロース株に再びスポットライトが当たると予想している。

 

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