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ESG指標を役員報酬に反映、62%に倍増=米国並みの水準に-WTW調査

2022年08月16日 14時00分

宮川正康ディレクター

 米国の大手コンサルティング会社のWTW(ウイリス・タワーズワトソン)の調査によると、TOPIX100構成企業のうち、役員報酬にESG(環境・社会・ガバナンス)指標を採用する企業は、昨年から倍増して、全体の62%になったことが分かった。昨年のS&P500構成銘柄の60%に匹敵する普及率で、米国並みの水準になっている。この調査は、WTWが企業の発表した有価証券報告書や株主総会資料、統合報告書等を分析・集計した。

 経営者報酬・ボードアドバイザリー プラクティスの宮川正康ディレクターは、ESG指標を反映させる理由について「経営トップ自らが、ESG課題に本気で取り組んでいることを示すため、業績連動報酬のKPI(重要業績評価指標)にESG指標を組み込む事例が急増している」と分析した。

 また、日本企業の対応について「日本は欧米に比べてESG課題への対応が遅れていると指摘されることも多いが、一方で、昨今のESG投資の潮流よりもずっと以前から日本企業に根付いている取り組みもある」と評価。「規制の後押しなどで、ESG戦略の策定やマテリアリティ(重要課題)の特定が一気に進み、価値創造のストーリーの中で特に重要なESG指標を開示・説明できる状況になってきた」と説明している。

 さらに、ESGに続く課題として「グローバル競争を勝ち抜くためには、株価・時価総額向上の意識(言い換えると、市場からの成長期待を上げる意識)をより一層高める必要があるかもしれない」と指摘した。こうした問題意識から、TSR(株主総利回り)を役員報酬のKPIにする企業がじわじわと増加し、TOPIX100構成企業の4社に1社が採用しているという。

役員報酬のKPIにESG指標を採用している企業役員報酬のKPIにESG指標を採用している企業(クリックで表示)




 

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