分かりやすさ、低コストが魅力=インデックスファンド最前線=三菱UFJ国際投信(上)
2020年12月03日 17時18分
インデックスファンドを使って投資を始める人が増えている。政府が税制上の優遇措置を与えて若年層をはじめとした幅広い世代の資産形成を後押しする「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」では、対象ファンドの約9割をインデックスファンドが占めており、長期投資に適したファンドとして認知度が高まってきた。国内のインデックスファンドシリーズで最大規模の「eMAXIS」シリーズ(※)を展開する三菱UFJ国際投信の担当者に、最新動向を聞いた。
(※)総本数59本、純資産総額の合計9043億円(2020年12月1日時点)
-インデックスファンドの魅力は。
佐藤諒氏(商品開発部 商品戦略グループ マネジャー) インデックスファンドとは、日経平均株価(日経225)などの特定の指数への連動を目指すファンドです。そのため、投資成果が分かりやすく、投資に不安を抱える投資初心者にとっても理解しやすいものになっています。
例えば、日経225は東証第1部に上場する約2000銘柄のうち、代表的な225銘柄で構成される指数ですが、個人投資家が指数を構成する全ての銘柄に投資し、指数と同じ組入比率になるようにリバランス(配分調整)を行うには多額な資金と時間が必要になり現実的ではありません。しかし、インデックスファンドを活用すれば少額から投資を始めることができる上に、運用会社が指数に連動するように運用するため、投資にかかる手間を省くことができます。
投資信託には、運用期間中に信託報酬等の費用が掛かりますが、コスト面では、ファンドマネジャーが銘柄選別を行うアクティブファンドと比較して、相対的に低コストであるという特徴がメリットに挙げられます。
投資環境によって値下がりすることもありますが(ただし、これはインデックスファンドに限定されるものではありません)、企業や経済は長期的には成長していくものと考えた場合には、低コストで市場全体の成長を享受することができるインデックスファンドは、長期投資に適した商品であると考えることができます。
■多様な指数とバランス型
-商品ラインアップの工夫は.
佐藤氏 当社のインデックスシリーズである「eMAXIS」シリーズは、投資家ニーズを踏まえた幅広い品ぞろえが特徴です。日本株や米国株、豪州リート、コモディティなどの対象地域や資産を限定したファンド、1本で世界全体の株式市場を捉える全世界株式、関心の高いテーマをそろえたNeoシリーズなど、投資家のみなさまのさまざまなニーズに応じた豊富なラインアップで資産運用をサポートしています。
また、「eMAXIS」シリーズでは、単一の指数への連動を目指すインデックスファンドのほかに、複数の資産を組み合わせたバランス型ファンドもラインアップにそろえています。バランス型ファンドと言っても複数の資産に均等に分散投資するものから、自分の生まれた年代から選べて老後に向けて徐々にリスク水準を引き下げるターゲットイヤー・ファンドや、ロボットアドバイザー「PORTSTAR」で複数の簡単な質問に回答してもらい各人に最適なリスク水準のバランス型ファンドを提示するものまで、工夫を凝らしたものをラインアップしています。
バランス型ファンドの特徴は、一つのファンドで複数の資産に分散投資することで、リスクを抑制しつつリターンを追求する効率的な運用が期待される点です。また、ファンドの中でリバランスを行いますので、ポートフォリオの管理が容易になります。
例えば、国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券を4資産均等で保有しようと考えた場合、組み入れている資産の価格変動により当初予定している4資産均等の投資にならないことが起こります。この場合、組み入れ比率が高くなった資産を一部売却して組入比率が少なくなったものに投資して、当初予定していたリスク水準を維持するためにリバランスが必要になります。個人でバラバラに4資産のファンドを購入して配分比率を調整しようとすると結構な手間となってしまいますが、バランス型ファンドであれば運用会社にまかせることができます。
■トータルリターンを享受
-商品設計で工夫は。
佐藤氏 インデックスファンドの商品性の工夫として、多くのファンドで「ファミリーファンド方式」を採用しています。ファミリーファンド方式とは、ベビーファンド(投資家のみなさまが投資するファンド)がマザーファンド(実際に各資産に投資するファンド)に投資することで、マザーファンドの投資成果を投資家のみなさまが享受する方式です。マザーファンドを活用する場合、他のベビーファンドからの資金も合同で運用されるため、ファンドの純資産額が大きくなることによって運用の効率化、取引コストの削減といった効果が期待されます。
また、ベンチマークとする指数は、“配当込み/トータルリターンベース”への連動を目指すように設定します。例えば、一般的に公表されている日経平均株価は、配当を含まない指数ですが、実際の運用においては投資している株式からの配当金も受け取っています。配当も含めた指数をベンチマークとしたうえで、決算時の分配金を抑制する商品性とすることで、配当金を再投資した複利効果を享受することができ、より長期投資で活用いただける設計をめざしています。(了)
日経平均株価
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