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手数料、業界最低水準を目指す=インデックスファンド最前線=三菱UFJ国際投信(中)

2020年12月03日 17時30分

-手数料の工夫は。

eMAXIS Slim

 佐藤氏 インデックスファンドは指数への連動を目指す商品性のため、信託報酬等のお客さまにご負担いただくコストが最終的にお客さまに提供するリターンに与える影響が大きいと考えています。当社の「eMAXIS」シリーズは、相対的に低コストのインデックスファンドシリーズです。

 その中でも、「eMAXIS Slim」シリーズは、業界最低水準の運用コストをめざしていくというコンセプトが、多くのお客さまにご支持をいただいております。業界最低水準の運用コストを目指す一環として、同種のインデックスファンドと比較して、信託報酬水準が最低水準となることをめざして信託報酬の引き下げを行うことを基本としています。「eMAXIS Slim」が低コストを追求できる理由のひとつとして、販売経路をネットチャンネルに限定することで紙媒体での印刷費用の削減していることが挙げられます。

 また、「eMAXIS Slim」は「受益者還元型信託報酬率」を採用しています。受益者還元型信託報酬率とは、一定の純資産残高を超過した部分の信託報酬率を段階的に引き下げるもので、全ての受益者に適用されます。ファンドの残高拡大に応じて、運用面におけるスケールメリットを「お客さまが負担する手数料の引き下げ」として還元することを目的に採用しています。

 こうした努力の積み重ねにより、例えば「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬(年率、税抜き)は、ファンドの純資産総額の500億円未満の部分で0.09300%、500億円以上1000億円未満で0.09145%、1000億円以上で0.08990%と、0.1%を下回る水準になっています(2020年12月1日時点)。

■アクティブリターンを追求
-運用の工夫は

村松祐介氏(インデックス運用部 株式グループ シニアマネジャー)
村松祐介氏(インデックス運用部 株式グループ シニアマネジャー)

 村松祐介氏(インデックス運用部 株式グループ シニアマネジャー) 「指数との連動性を高めること」を目標に、日々努力しています。売買コスト等の発生によるベンチマークへの連動性の低下を補うため、直近では、よりアクティブリターンも重視した運用を行っています。従前から行っている貸株の実施による収入に加えて、裁定取引のような取引を各資産で研究・実施することで、安定したアクティブリターンを獲得し、指数への連動性をさらに高めることを目指しています。微細に至るコスト削減や利益の積み上げが、長期的にお客さまの資産形成に大きな成果をもたらすと考えています。

■自分自身の売買インパクトを抑える
-苦労していることは。

 村松氏 各社のインデックスファンドの運用残高が拡大する中で、インデックスファンドの存在感がマーケットで大きくなってきていることです。例えば、指数構成銘柄の入替等の取引は各社インデックスファンドで原則同じ方向の取引を行いますが、各社のインデックスファンドの残高がマーケットに対して大きくなっている中で、我々の売買がマーケットに与える影響が大きくなり、結果として思わぬ形で売買コストが拡大することがあります。売買コストの拡大は前述のとおりファンドの連動性を押し下げることにつながりますので、運用者としては、事前に入替のインパクトを推計したり、インパクトの小さい売買方法を工夫したり、以前にも増して細心の注意を払って売買対応を行うようにしています。

■自動運用に挑戦
-先駆的な取り組みは。

 村松氏 債券ファンドを中心として、一部のファンドでは設定解約に対応する売買案の作成のために膨大な計算処理と時間を要していましたが、直近ではプログラミング言語「Python(パイソン)」を用いることで、売買案の自動作成と大幅な時間圧縮を実現しています。また、株式ファンドについても、多くのファンドで売買案の作成をボタンひとつで作成できるようにするなど、「自動運用」と言えるレベルに相当近づいてきていると考えています。

 Pythonについては、機械学習(ランダムフォレストモデル)を用いて設定解約の資金フローを予測して売買行動に利用したり、「webスクレイピング」で適時開示資料を自動取得したりするなど、多くのソリューションを提供してくれていますので、先駆的な取り組みのひとつとして継続的に活用していきたいと考えています。(了)

 

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