広がるインデックスの領域=インデックスファンド最前線=三菱UFJ国際投信(下)
2020年12月03日 17時50分
-今後の展開は。
佐藤氏 個人投資家のみなさまにとって資産運用のベースとなるパーツの多くは既に提供できているものと考えていますが、今後の新商品については、引き続き、ブログやSNSなどで資産運用について情報発信するブロガーとのミーティング等を通じた個人投資家のみなさまとのコミュニケーションを大切にしつつ、お客さまのご意見に耳を傾けながら検討していきたいと思います。
また、お客さまに提供できるインデックスの幅も広がっています。例えば、テーマという切り口の新しいインデックスシリーズ「eMAXIS Neo」では、第四次産業革命の原動力となる分野に関連したテーマのインデックスをシリーズとしてそろえており、新しい付加価値を提供しています。
従来であれば、自分が有望だと考えるテーマに沿って運用するファンドへの投資を検討する場合、アクティブファンドが主な選択肢でした。しかし、アクティブファンドは、市場平均以上の高いリターンをめざして運用されますが、銘柄選定のための調査などにコストがかかることから、インデックスファンドと比較して信託報酬が高くなる傾向があります。一方、「eMAXIS Neo」のようにインデックスファンドであればコストを抑えながら、市場平均とは異なるリターンの源泉を享受することが可能になります。
このシリーズの大きな特徴は、各指数の構成銘柄を人工知能(AI)が自然言語処理技術を活用して有価証券報告書等の開示物を読み取り、関連銘柄をピックアップする点です。「eMAXIS Neo」で採用している指数は、米国の大手指数会社S&P社の傘下にあるKENSHO社が開発したAIを活用する本邦初となるテーマ型インデックスです。KENSHO社は、AIの開発に強みを持っている企業です。また、この会社のAIはグローバルで大手金融機関などにて採用されており、実績のあるAIであると言えます。
このように、「eMAXIS」はシリーズ全体を通して、資産運用の基盤となるインデックスファンドの提供に留まらず、新規性が高くお客さまの資産運用の一助になると考えられるインデックスファンドもラインアップに加えることで、より多くの選択肢を提供できるように努めています。
■自分を知り、ファンド選択
-投資家にアドバイスは。
野尻広明氏(デジタル・マーケティング部 シニアマネジャー) ベンチマークによって、それぞれリスク(価格の振れ幅)と期待リターンの大きさが異なるので、「お客さまが許容できるリスク量」や「求める期待リターン」にあわせて選んでいただくのがいいと思います。若年層で長期積み立てを行うのであれば、一定程度のリスク量は取れるので株式に投資するファンドを選択される方なども多くいらっしゃいます。過去の値動きを見ながら「どの程度の下落であれは自身でも耐えられるか」を見ていくのも良いと思います。
また、各資産に均等に配分するファンドではありませんが、当社ではロボットアドバイザー付きのバランス型ファンドとして「eMAXIS最適化バランス」シリーズがございます。ファンド選びにお悩みの方であれば、「PORTSTAR」というロボアドバイザーを通じた約1分の無料診断により、ご自身にふさわしいと思われるファンドを選ぶことができますので、ぜひそちらも参考にしていただければと思います。
インデックスファンドは、市場全体の成長を享受することができるので、「企業や経済は長期的には成長していくものだ」とお考えであれば、短期的な目線ではなく長期的な目線で見ていく必要があります。
新型コロナウイルスの感染拡大により世界の株式市場は一時的に大きく下落した局面もありましたが、足元は下落前の水準にまで戻ってきています。相場の変化に一喜一憂せず投資を続けていくことが大切だと考えています。たとえ一時的に相場が下落したとしても、不安になってすぐに解約してしまうのではなく、ライフイベントに合わせて、積み立てとは逆に計画的に取り崩したり、目標に到達したなどのタイミングで一部解約を行ったりするのも良いのではないでしょうか。
また、指数に連動する上場投信(ETF)との違いですが、ETFは株式から受け取った配当金を全額払い出すものになります。一方、「eMAXIS」シリーズなどのファンドにおいては分配を抑制しているファンドもあり、分配方針の違いが出てきます。つまり当社の「eMAXIS」シリーズは、配当を分配金としてお支払せずに運用を続けており、いわば複利で資産を殖やすことができるので、トータルリターンベースの収益を追求できます。
また、ETFですと上場投信ということでリアルタイムでの売買が可能ですが、価格については需給バランスで決定しているため、マーケット環境によってはベンチマークとの乖離(かいり)が大きくなることがあります。また、最低投資金額が大きくなりやすいことなども、投資初心者にとってハードルになります。複利効果を狙いつつ、一定の金額で積み立てしたい場合や日中に頻繁に取引しないお客さまであればインデックスファンドのほうが使いやすいと思います。
■直販、LINE、YouTube
-投資家を伴走する工夫は。
野尻氏 投資を始める方が少しずつ増えてきたと実感しています。当社は投資信託のメーカーとして販売会社を通じて商品をお客さまに届けて参りましたが、お客さまに直接ファンドを届けられるよう直販サービス「mattoco」を昨年3月に開始しました。そして、長く投資を続けていただけるよう、また、当社からも直接的にお客さまへ情報提供できるようLINEによる情報提供やオンラインセミナーの開催、足元ではお客様の声を聞きながら、運用会社独自の情報をタイムリーかつコンパクトに提供するべくYouTubeにて「三菱UFJ国際投信 ON AIR(投信オンエア)」を開局しました。このようにお客さまとの直接的な接点も色々と持ちながら、投資を身近に感じてもらい、不安を解消しながら長く投資を続けていただけるコンテンツを提供し続けていくことで、お客さまの資産運用に寄り添い、歩み続けて行きたいと考えています。(了)