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IFAとは何者か?=フィデリティ投信がパネルディスカッション

2020年11月25日 09時56分

共著「IFAとは何者か」
共著「IFAとは何者か」

 外資系運用会社のフィデリティ投信は「IFAとは何者か?~米英の実情と日本での将来像~」をテーマにパネルディスカッションを開催した。金融とITを融合させたフィンテック企業の日本資産運用基盤グループの大原啓一社長、明治大学国際日本学部の沼田優子特任教授、フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所の野尻哲史所長が参加した。3人はIFAに関する共著を12月1日に出版する予定だ。

 IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)とは、証券会社や金融機関に所属せずに中立の立場で、お客さまの生涯にわたって、資産運用や資産管理をアドバイスする専門家のことだ。国により状況は異なるものの、金融商品の売買に伴う手数料(コミッション)ではなく、お客さまから預かった資産残高に連動して決まる手数料(フィー)を主な収入にしている点が特徴だ。英米では多くの個人投資家がIFA(米国ではRIA<個人向け投資顧問業者>)を利用しており、日本でも注目され始めている。

◆英国、顧客数が急速に増加-野尻氏 

フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所 野尻哲史所長
フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所 野尻哲史所長

 野尻氏は、英国のIFAの現状について「顧客数が急速に拡大し、業界の売り上げ規模も増加している状況だ」と紹介した。社会保障制度改革で、全ての企業に企業年金の導入が義務付けられ、加入者自身が掛け金を運用する確定拠出年金が普及する中で、その引き出し時点でのアドバイス需要が高まっていることが背景にあるという。IFA事業者は「5人以下の会社が全体の9割を占めており、ビジネスに必要な情報や事務処理などをカバーしてくれる外部組織(プラットフォーマー)を利用している」という。

 さらに、日本でのIFAのニーズについて「超高齢化社会が進展し、退職後の資産活用期を迎える人口が増加する中で、上手に資産を取り崩すなどの作業は、高齢者にとって大きな負担になるだろう」と分析。「加齢によって認知能力や判断能力が低下すれば、自分自身でできることも限られてくるので、お客さまの側に立ったアドバスを提供してくれるIFAの必要性が高まるだろう」と指摘した。

◆米国、顧客本位のサービスに利益が付いてくる-沼田氏   

明治大学国際日本学部 沼田優子特任教授
明治大学国際日本学部 沼田優子特任教授

 沼田氏は、米国のRIAの現状について「顧客本位のサービスを提供しているが故に、RIAに利益が付いてくるという仕組みが出来ている」と説明した。RIAには、証券会社の証券外務員が独立し、投資顧問の資格を取って個人向けにアドバイスしたりする人がいるが、「証券会社の利益ではなく、顧客の利益を優先して、顧客のためになるアドバイスをしてくれる」と信頼されることで、手数料収入を得ているという。

 顧客がRIAに求めるものは「資産運用でパフォーマンスを上げること」や「値上がりしそうな銘柄を目利きすること」だけではなく、「(お客さまの)金融資産全体を管理してくれること」や「自分に合った個別化したアドバイスを提供してくれること」だという。顧客層については「さまざまタイプのアドバイザーがいて、富裕層から資産形成層まで幅広い」。

 沼田氏は、米国でRIAビジネスが成立している要件について「RIAを支える『経済圏』が確立していることだ」と指摘した。経済圏とは、取引やデータを一元管理してくれる証券会社等のプラットフォーマーや、会計士や弁護士など周辺業界の専門家などだ。「米国のRIAは1人でビジネスをしているのではなく、それを支える『経済圏』が提供されていることで、預かり資産でも、人数でも、最大の勢力になっている」と強調した。

◆必要なのは「資産運用アドバイス」-大原氏    

日本資産運用基盤グループ 大原啓一社長
日本資産運用基盤グループ 大原啓一社長

 大原氏は、金融アドバイスを分類し「比較的短期の時間軸で商品選定の目利きを行う『投資アドバイス』と、お客さま一人一人のライフプランニングに合わせて、長期軸でのゴールを見据えた助言を提供する『資産運用アドバイス』がある」と分析した。

 その上で、それぞれの特徴について、「投資アドバイス」は、商品を紹介する時点に付加価値が集中しており、売買に伴って発生する手数料(コミッション)と親和性が高い。ただ、株式売買手数料が無料化されるなど、コミッションは急速に低下しており、これに依存していてはサステナブル(持続可能)な事業モデルを構築できない。

 一方、お客さまを長期的にサポートする「資産運用アドバイス」について、その対価として、資産残高に連動して決まる手数料(フィー)を頂戴することは、理解を得やすい。また、IFAの事業モデルをサステナブルにできる。

 アドバイスする金融商品についても、現在の投資信託やファンドラップは、投資運用サービスに傾斜した契約になっていることから、「アフタフォローの付加価値をしっかり包含するような契約を結ぶ、新たな投資一任サービスを提供することが求められている」と指摘した。(了)

 

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