〔マーケット見通し〕経済正常化で、年後半には株価回復-日興アセット・神山氏
2022年01月26日 14時00分
日興アセットマネジメントは四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2022年新春号を発表した。財政支出によるコロナ対策の経済効果や輸出の伸びに加え、今後の経済正常化によって運輸やサービス、小売りなどの内需関連産業が回復し、年末の日経平均株価は3万3500円程度に上昇すると予想した。
年末の円相場は、1ドル=117円とやや円安の見通しを示した。リスク要因として、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が収束した後に、医療崩壊や都市閉鎖(ロックダウン)につながる新たな変異株が出てくるケースを挙げた。
神山直樹チーフ・ストラテジストは「世界的な趨勢として、年後半にはワクチン接種や治療薬の普及が進み、コロナ対策で業務を縮小している産業が正常化すると予想した。年末には海外への移動がある程度、普通になることをイメージした」と指摘した。
現在の米国経済は、雇用が正常化し、コロナ対策の給付金が消費に向かっている。米国の需要は今年も来年も堅調に推移するだろう。米国向け輸出が伸び、世界景気は今後も回復していくだろう。
米国の政策金利は、こうした経済の正常化を確認しながら、その後を追う形で、コロナ前の水準に引き上げられるだろう。市場では、0.25%ずつ年4回の利上げがコンセンサスになりつつある。量的緩和で拡大した中央銀行の資産額は、3月前後から正常化が始まるだろう。保有する債券が償還されるなどの方法で、緩やかに資産残高を減らすことを予想している。
米国の金融当局は、株式市場にマイナスの影響を与えるような利上げはしないだろう。また、一般論として、利上げが株式市場にマイナスであることはない。金利はインフレに伴って引き上げられる一方で、株価も売上高や利益へのインフレの影響を織り込んで上昇するのが、理論的な考え方だ。ただ、一部の市場参加者は、利上げが株価にマイナスというイリュージョン(錯覚)を持っており、株価が乱高下している。
今後、経済の正常化が進めば、マーケットの関心は、金融政策よりも企業業績に向かうだろう。マーケットが荒れるのは長くても今年前半までではないか。