公募株式投信(除くETF)、1.4%増の171兆円=7カ月連続で増加し、過去最高を更新-11月の投信概況
2025年12月12日 08時30分
投資信託協会がまとめた2025年11月の投信概況によると、公募株式投信(除くETF)の純資産総額は、前月比1.4%増の171兆8857億円だった。7カ月連続で増加し、過去最高を更新した。
一方、公社債投信やETFを含む公募証券投信全体で見ると、純資産総額は前月比0.4%増の297兆3783億円となった。こちらも7カ月連続で増加し、過去最高を更新した。
月間の新規設定は41本、償還は36本だった。この結果、運用中のファンド本数は前月末比5本増加して、5760本になった。
◆30カ月連続で流入超過=公募株式投信(除くETF)
(出所)投資信託協会(クリックで表示) 公募株式投信(除くETF)の資金増減額は、1兆3638億円の純資金流入となった。3カ月連続で1兆円を超えた。流入超過は30カ月連続。少額投資非課税制度(NISA)を通じて、個人投資家の資金流入が続いている。
一方、運用増減額は、プラス1兆3545億円だった。11月末は、日経平均株価が前月末比4.1%低下する一方、NYダウは同0.3%上昇した。月末の円相場は1ドル=156円63銭となり、前月末(同154円10銭)と比べて、1.6%円安に振れた。
◆「設定」、2カ月連続で4兆円を超える高水準に
(出所)投資信託協会(クリックで表示) 公募株式投信(除くETF)の純資金流入額を「設定」と「解約・償還」に分解すると、「設定」は4兆0838億円となり、過去最高だった前月(4兆7796億円)の流れを引き継ぎ、2カ月連続で4兆円を超えた。
一方、「解約・償還」は2兆7200億円で、過去1年間の平均(2兆4953億円)をやや上回る水準だった。
◆「国内株、海外株、内外株、資産複合」とも前月上回る
主要な商品分類別に資金増減額を見ると、「海外株式型」「内外株式型」「内外資産複合型」は、いずれも前月を上回る資金純流入になった。また、「国内株式型」は、1878億円の流入となり、今年4月(2764億円)以来の水準だった。日経平均株価に連動するインデックス型やブル型のファンドに資金流入が見られた。
(出所)投資信託協会(クリックで表示)
◆企業型DCやiDeCoも加入者拡大、投信の割合高まる
厚生労働省と運営管理機関連絡協議会のまとめによると、2025年3月末の企業型確定拠出年金(DC)の加入者数は862万人(前年同月は830万人)に拡大した。また、運用資産に占める投資信託等の割合は69.2%(同67.3%)に上昇した。
2025年3月末の個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数は362万人(前年同月328万人)に拡大した。また、運用資産に占める投資信託等の割合は75.9%(同73.2%)に上昇した。
国民年金基金連合会のまとめによると、2025年3月末の「iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)」の事業所数は8847社(前年同月は7424社)に拡大した。また、拠出対象者数は5万6024人(同4万7012人)に増加した。
(出所)投資信託協会「投資信託等の主要統計2025年11月」(クリックで表示)
(出所)投資信託協会「投資信託等の主要統計2025年11月」(クリックで表示)
(出所)投資信託協会「投資信託等の主要統計2025年11月」(クリックで表示)
◆『貯蓄から資産形成』が軌道に乗った1年
松下浩一投資信託協会会長は、2025年を振り返って「公募株式投信(除くETF)が30カ月連続で資金流入超になるなど、国民全体が投資を前向きにとらえた年になった。4月にはトランプ関税の発表で株価が急落する局面もあったが、資金流入が継続した。相場に一喜一憂せず、腰を据えて投資に取り組んでいることを感じた」と述べた。
その上で「早いペースで上昇しているため株価の揺り戻しがあるかもしれないし、さらにこのまま上伸することもあるだろう。どちらにしても、投信市場への資金流入は減らないと予想しており、ようやく『貯蓄から資産形成』が軌道に乗った1年だった」と評価した。
NISAについては、「新NISA2年目となる今年も、順調に拡大している。NISAの総買付額は6月末で63兆円となり、目標(2027年末までに56兆円)を前倒しで達した。一方、NISA口座数は6月末で約2700万口座ということで、目標(2027年末までに3400万口座)に比べて滞っている」と述べた。
NISAの課題については「18歳以下の口座開設を可能にしたり、高齢者の利用を促進したりすることで、拡大の余地があると考えており、政府に制度拡充を要望している」と話した。このうち、高齢者向けに対象ファンドを広げることについては「(利益の一部を払い出す)『毎月分配型ファンド』について、資産を殖やすというというNISAの本来の趣旨にそぐわないという意見があり、議論が続いている」と指摘した。
松下浩一投資信託協会会長来年4月に投資信託協会と投資顧問業協会が統合して「資産運用業協会」が発足することについては、「新協会の誕生を契機として、資産運用業の存在感を高めることを究極の目標に掲げていこうと思っている。『貯蓄から投資へ』の動きについて、曙光が見え始めており、家計資産に占める現預金の割合が50%を切る、初めての年になるのかなと推測している」と述べた。



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