世界のETF残高、過去最高を更新=欧州の個人投資家の利用拡大、イノベーションが市場をけん引-ドイチェ・アセット
2026年03月10日 08時30分

ドイチェ・アセット・マネジメントはこのほどメディア・ラウンドテーブルを開き、「グローバルETF市場の最新トレンド」をテーマに、Xトラッカーズセールス 日本ビジネスヘッドの岸本拓之氏が講演した。
世界のETF市場は、2025年末の運用資産残高が19.4兆ドルに達し、過去最高を更新した。2030年には25兆ドルに到達すると予想されており、今後も力強く拡大していく見通しだ。
岸本氏は、市場拡大のドライバーについて、①欧州で個人投資家のETF利用が増加 ②デジタルチャネルの加速 ③「アクティブETF」の隆盛 ④商品のイノベーション-を挙げた。
「欧州では個人投資家の『ETF積立プラン』の件数が大きく伸びている。また、『アクティブETF』は米国だけでなく、欧州でも存在感を高めている。さらに、暗号資産を投資対象とするデジタル資産ETFなど、イノベーションがETFのさらなる革新と市場拡大を後押ししている」(岸本氏)という。主なポイントは以下の通り。
◆米国大型株一極集中からのシフト
-機関投資家の動向は
岸本氏 一つは、米国大型株一極集中からのシフトだ。米国以外の地域のETFに、より大きな資金が流入している。具体的には、大手機関投資家が欧州株式や欧州債券のETFを利用して、投資先地域の分散を進めている。また、米国株式への投資についても、時価総額加重平均型ではなく、均等加重型を採用することで、メガキャップ(超大型株)への集中を是正する動きが見られる。
二つ目は、投資商品のアンバンドル(分解)だ。例えば、世界株ETFを一つ保有するだけでは、米国株の比率を管理できないが、世界株(除く米国)と米国株ETFの二つに分けて保有することで、米国株の比率を自分で調整できるようになる。より細かいパーツに分解することで、解像度を高め、よりきめ細かで柔軟な投資ができる。こうした管理を手軽に行える点がETFの強みだ。
◆アクティブETFが拡大、AI活用し多様化が進む
-新たな潮流は
岸本氏 一つ目は、特定の指数への連動を目指さない「アクティブETF」が拡大していることだ。パッシブ戦略で運用する機関投資家の中に「少しアクティブ色の入った運用戦略を低コストで採用したい」という動きが出てきている。一方、アクティブ戦略を採用している機関投資家の中には、相対的にコストの低いアクティブETFに置き換えたいとするニーズも出てきている。
二つ目はETFの多様化だ。これまでテーマ型のETFと言えば、特定分野の売上高や利益に着目したものが多かったが、例えば企業の保有する「特許」をスコアリングして銘柄選定を行うパッシブETFが登場した。AIを使って大量のテキストを読み込むことが可能になり、低コストで新しいETFを生み出せるようになった。
また、複数のETFを組み合わせて作る「マルチアセットETF」が、今後、新たなトレンドになっていく可能性がある。欧州を中心に「分散投資はしたいが、複数のETFに自分で分散投資するのは大変だ。アロケーションはプロに任せたい」というニーズが強まっている。マルチアセットETF自体は日本ではまだトレンドにはなっていないが、ロボアドを利用する人は多い。今後、時短で成果を得る「タイパ」の風潮が強まれば、時代性にフィットするかもしれない。
このほか、日本と米国にはなく、欧州にあるETFとして、スワップ契約を用いて指数に連動あるいは上回る投資成果を追求する「シンセティックETF」が注目されている。新興国株式など、現物でのETF組成が容易ではないアセットクラスや、インドのように現物保有によるキャピタルゲイン課税が負担となる国において、トラッキングエラーを低減したり、時にはパフォーマンスを高めたりする目的で用いられる。
◆欧州で「ETF積立プラン」が拡大
-欧州の個人投資家の動向は
岸本氏 日本では少額投資非課税制度(NISA)を使った投資が拡大しているが、欧州では「ETF積立プラン」が盛んになっている。現在投資額は176億ユーロだが、2028年には4倍の643億ユーロに拡大し、欧州の人口の10%が「ETF積立プラン」を保有すると予想されている。
ドイツ発の成功モデルが欧州全体に広がろうとしており、ネオブローカーと呼ばれるオンライン証券のデジタルチャネルを通じて、欧州各国で「ETF積立プラン」の普及が進んでいる。ドイツでは2027年に、6~18歳向けの積み立て投資制度がスタートする。政府が掛け金を拠出する点が特徴だ。ETFと結び付けば、さらに市場拡大の起爆剤になる可能性がある。
◆世界のETFエコシステム、サステナブルに発展
岸本氏 このように世界のETF市場は、付加価値のある商品が使いやすいフィー水準で登場し、きめ細かく新陳代謝を行いながら、業界の構造を変えて拡大している。単純なインデックス型の商品ばかりで、値下げ競争が続いているということはない。世界のETFのエコシステムは、サステナブルに発展している。



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