日本株の上昇、「不可逆的で構造的な変化」が要因=「CIOが語る日本株市場」-日本取締役協会が公開セミナー
2026年03月11日 08時30分
(右から、猿田氏、村尾氏、酒井氏、下西ノ園氏、本荘氏) 一般社団法人日本取締役協会は9日、オープンセミナー「CIOが語る2026年度の日本株式市場」を開催した。同協会の「日本の金融の新しい動きを理解し戦略を考える委員会」の猿田隆委員長(三井住友DSアセットマネジメント会長)が司会進行を行い、運用会社大手4社の最高投資責任者(CIO)が、過去最高値を更新し5万円台に上伸した日本株式を分析した。
◆インフレ環境に転換、企業の所有構造が変化-野村アセットの村尾氏
野村アセットマネジメントの村尾祐一常務CIOは「『日本経済でも(デフレが終わり)インフレ傾向が定着したこと』と『日本企業の所有構造が変化したこと』の二つが、不可逆的で構造的な変化となって、日本株式を上昇させた」と分析した。
「インフレの要因の一つは、日本の人口動態が背景となっており、人口減少によって労働力が不足し賃金が上がるという構造的なものだ。企業の所有構造は、コーポレートガバナンス・コードによって政策保有株の売却が進んだことで、実効性を持って資本コストを意識した経営が行われ、自社株買い等により資本効率が高まった」と説明した。
◆ROE向上が株価上昇に寄与-アセットマネジメントOneの酒井氏
アセットマネジメントOneの酒井義隆CIO株式運用部共同部長は「資本効率を高めてROE(自己資本利益率)を改善させたことが、株価の上昇に寄与した。企業は、ROEを上げるために、資本を小さくし、企業利益を大きくする努力をしてきた。そうした中で、自社株買いにより、企業自身が株式の買い主体になったことが、需給的にも大きなインパクトになった」と分析した。
「日本株は、配当や自社株買い、稼ぐ力の向上により、年間10%強のリターンが期待されるアセットクラスになってきた。『コーポレートガバナンス・コード』と『企業の努力』、『インフレの定着』が三位一体となって、株価が上昇してきた」と話した。
◆設備投資で利益を上げROEを改善-三井住友DSアセットの下西ノ園氏
三井住友DSアセットマネジメントの下西ノ園慎一CIO株式運用担当は、株価上昇について「デフレからインフレへと経済が正常化する中で、アベノミクス以降、企業がコーポレートガバナンス改革を進めてきた効果が表れて、経済正常化の道をたどっている」と分析した。
「2021年以降、最初は極端に売られた銘柄が買い戻され、次にコーポレートガバナンスの準備がしっかりできた企業の株価が上昇した。今後は、自信と持って設備投資をしてしっかりと利益を出し、ROEを改善できる企業が評価される局面になっていく」と述べた。
◆目標を立て計画を開示して実行する-東京海上アセットの本荘氏
東京海上アセットマネジメントの本荘和宏CIO常務執行役員 運用本部長は、企業に期待することについて「資本コストを意識した経営を徹底していただきたい。例えばPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業であれば、改善計画を作成して開示する。あるいは、ROEの目標を立てて、セットとなる成長戦略を策定する。バランスシートを考慮した企業戦略に対する投資家サイドの注目度が高まっている」と述べた。
さらに「サクセッションプラン(後継者育成計画)を作り、次のトップの育成や権限移譲などを、透明性を持って実行していくことが、企業の底力を上げていくことになる」と話した。



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