日本株、堅調な推移が続く=インフレや市場改革を背景に-フィデリティ投信の鹿島副社長
2025年12月15日 07時00分

フィデリティ投信はこのほど、「2026年の市場展望」をテーマにメディア・ブリーフィングを開催した。同社副社長で運用本部長の鹿島美由紀氏は、日本株市場の先行きについて「景気サイクルの影響はあっても、日本経済は長期的に好循環に入っており、それに伴って株式市場は堅調な推移が続くだろう」と述べた。主なポイントは以下の通り。
◆日本株は第2フェーズの上昇に
-日本株式の現状は。
鹿島副社長 日本経済は2012年12月に発足した第2次安倍政権が推進した経済政策「アベノミクス」により名目GDPが拡大に転じ、株式市場は第1フェーズの上昇に入った。
2023年以降は、日本経済が緩やかなインフレに転じたこと、東証の市場改革により日本企業が利益の最大化に向けてビジネスのあり方を見直し、投資家との対話を重視し始めたことなどで、株式市場は第2フェーズの上昇を続けている。
◆名目GDPが拡大、コーポレートガバナンスが進展
-日本株式の注目点は。
鹿島副社長 日本株式が、今後も第2フェーズの上昇が継続するかどうか。チェックポイントが四つある。
一つ目は、マクロ経済・政策だ。経済がインフレに転じたことで、今後は物価上昇を加味した名目GDPの拡大に注目してほしい。実質GDPが1%の上昇であっても、インフレが3%ならば、名目GDPは4%上昇する。名目GDPの拡大を受けて、企業の売上高や利益が増加し、それによって株価の上昇が期待される。高市政権の経済政策では、賃金上昇と設備投資を後押しする政策に注目している。
二つ目は、コーポレートガバナンスの進展だ。プライム市場では、ほとんどの企業が東証の要請を受けて関連情報を開示し、改革のスタートラインに立った。改革には長い時間を要するが、その分、マーケットは長い期間をかけて上昇するだろう。政府は、さらなる企業価値向上に向けて、コーポレートガバナンス・コードの改訂を進めている。
三つ目は、企業業績とバリュエーションだ。「企業業績が拡大する中で、1株当たり純利益(EPS)が成長していくか」「経済正常化後の成長戦略をどのように描くか」に注目している。日本株のバリュエーションは、まったく割高ではない。
四つ目は、株式市場の需給だ。海外投資家はこれまで日本株式をアンダーウェイトにしてきたが、その幅を縮めている。国内では、企業自身による自社株買いが活発に行われている。日本の投資家はまだ日本株を購入しておらず、その分、買い余地がある。
◆AIを駆使し、生産性を高める
-日本株式の今後の見通しは。
鹿島副社長 海外投資家の中には、日本株について「人口が減少する国の株式には魅力がない」と話す人もいた。しかし、政策が変わり、経済が拡大し、企業業績が回復する中で、日本株式は大幅に上昇することができた。今後も、AI(人工知能)などを駆使することで、生産性を高め、経済を拡大させていくことが可能だ。
東証の企業改革の要請は、緩やかなインフレ下では受け入れやすく、資本コストや株価を意識した経営は、今後も進展してくだろう。さらに、日本企業に対する再評価が進み、国内外の投資家の資金が株式市場に流入する余地がある。自社株買も拡大基調をたどると見ている。



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