退職後の生活への期待、日本と豪州は悲観的=老後資産形成で、初のグローバル意識調査-ティー・ロウ・プライス
2025年12月10日 07時00分
(出所)ティー・ロウ・プライス「2025年老後資産形成に対するグローバル意識調査」(クリックで表示) 米国の大手資産運用会社のティー・ロウ・プライスは、日米英豪カナダの5カ国で実施した、老後に向けた資産形成に関する初のグローバル調査結果を発表した。
この中で「退職後の生活に当てはまること」を予想してもらったところ、「仕事をしているときと同等か、それ以上の暮らしができる」と予想した人は、世界平均で31%にとどまった。また「お金が足りず尽きる可能性がある」が17%を占め、退職後の生活への期待はグローバル全体で低い結果となった。
「退職後に少なくともパートタイムで働く」とする回答が34%で最も多く、3人に1人が定年後も働く意向であることが分かった。
5カ国を比較すると、日本と豪州は退職後の経済的保障に関して、より悲観的なことがわかったという。特に日本は、「住宅修繕や高額医療費など大きな出費に耐えられる」、「老後の医療費を払う十分なお金がある」、「家族や慈善団体にお金を残すことができる」、「家族や若い世代や子供たちに学費や住宅費を援助できる」と予想する人が5ヵ国で最低だった。
◆運用アドバイスの入手先
(出所)ティー・ロウ・プライス「2025年老後資産形成に対するグローバル意識調査」(クリックで表示) 資産形成や運用アドバイスの入手先について「各情報源をどの程度頼りにしていますか」との問いに対して、世界では、上位4つの入手先のうち3つが職場を通じた情報提供だったという。中でも米国は職場関連の資産運用アドバイスに対する信頼度が最も高い傾向となった。
一方で日本の回答者は、情報源のほとんどで「頼りにする」と回答した人が5ヵ国で最低だった。日本の投資家は自ら投資判断を行うDIY投資を好む傾向が際立つ結果となったという。
調査は2025年6~7月に、18歳以上の退職前の勤労者で、確定拠出年金などの職場退職給付制度の加入者や加入資格者、約7000人に実施した。
ティー・ロウ・プライスは、米国メリーランド州ボルティモアを本拠に世界16カ国で投資運用サービスを展開している。米国株式のアクティブ運用残高で、10年連続世界トップだ。運用残高の3分の2がリタイアメント・ビジネスに関するもので、さまざまなソリューションを提供している。
グローバル・リタイアメント・ストラテジストのジェシカ・スクラファニ氏は「平均寿命の延伸、金融・経済の不確実性、変化する退職後への期待により、退職は固定された到達点ではなく、ライフステージに応じて見直しが必要な、継続的なプロセスへと変化している」と分析。
「こうした意識の変化を解明することで、経済的安定、自信、そして将来に対する前向きな見通しを高める戦略・ソリューションの提供につなげることができる」とコメントしている。



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