コモンズ投信とウォルター・スコットが記者会見=「なぜ、いま『長期・厳選投資』なのか―未来を変える新たな挑戦」-「コモンズ・グローバル30ファンド」を新規設定
2025年12月08日 08時30分
(左から、渋澤氏、伊井氏、ヘンダーソン氏) 独立系運用会社のコモンズ投信(本社東京)とウォルター・スコット(本社スコットランド・エディンバラ)は3日、「なぜ、いま『長期・厳選投資』なのか―日本の資産形成と企業の未来を変える、新たな挑戦」をテーマに記者会見を開催した。両社は同日、世界株式に長期・厳選投資する「コモンズ・グローバル30ファンド」を新規設定した。
コモンズ投信の伊井哲朗社長兼最高運用責任者は「良いお金の循環によって、より良い社会と豊かな人生をつくり出したい」と述べた。主な発言は以下の通り。
◆日本経済に長期資本を提供する。
-コモンズ投信を設立した背景は
コモンズ投信の渋澤健会長 長期投資の世界に入った理由の一つは、子どもが生まれたことだ。子どもが大人になったときのための資金を積み立てたいと考えた。
もう一つは、企業経営者に「ファンドは足元の業績を見て投資をしてくるが、株価が上がるとすぐに逃げて行ってしまう。ハゲタカのようだ」と言われたことだ。
企業とファンドは、業績が評価されて株価が上がるという「縦軸」では目線があっている。しかし、ファンドは「より高く、より短く」投資して、短期間でパフォーマンスを高めようとする。企業からすると「会社は機械ではない、投資の成果を得るには時間がかかる」と考える。企業とファンドは「横軸」である時間軸が合わないのではないかと考えた。
つまり、日本では長期資本が欠落している。誰が提供できるかと考えた時に、それは自分のように「子どものため、自分の将来のために毎月積立投資をする人のお金」が集まれば、それがかなりの金額になって、企業と対話しながら、価値を高めていくことができるのではないかと考えた。
個人にファンドを提供するにあたって、インデックス運用という選択肢もあった。しかし、インデックス運用では、数字しか見えない。数字の裏にはそれぞれの会社の価値創造のストーリーがある。それが見えないことは、もったいないことだ。
企業を厳選して投資することで、企業が価値創造する姿をきちんと投資家に伝え、対話を通じて理解を深めていくことができる。こうした考えのもとに設立したのがコモンズ投信だ。
◆「良いお金の流れ」をつくり、社会と人生を豊かにする
-コモンズ投信の運営方針は
コモンズ投信の伊井哲朗社長兼最高運用責任者 ファンドの運用に当たって「良いお金の流れを作りたい」と考えた。
当時、企業経営者に会うと「海外には良い長期投資家がいるが、日本にはまったくいない。コモンズが長期投資をめざすのなら、応援したい」と言われた。長期投資家が株主となって、企業をしっかりサポートしないと、国際競争に勝ち残れない。
短期売買では、良いお金の流れを作ることはできないので、コモンズ投信は長期投資を始めた。合わせて、投資では行きつかない社会課題を解決するため「寄付」に取り組んだ。
さらに、運営の両輪である「長期投資」と「寄付」をつなぐものとして、「ESG」をインテグレート(統合)した運用や、経済的リターンと同時に社会課題の解決を目指す「インパクト投資」を始めた。これにより、長期投資から一気通貫して、世の中に良いお金の流れの循環をつくる。この幹を太くすればするほど、良い世の中になっていくと考えた。
投資とは、個人にとって「社会への参加」という意味がある。短期投資は、社会参加とは少し違うものだ。長期投資によってインベストメントチェーンの中に入ることで、より良い社会をつくることができる。
高度成長期は、政府、官僚、企業、銀行を中心とした鉄のトライアングルで、日本経済は成功を収めた。しかし、バブル崩壊以降は、うまくお金が回らなくなっていた。多様化・複雑化する社会に対して、個人投資家が長期投資を通じて社会参加することで、良いお金の循環を生み出し、資産形成によって豊かな人生をつくる。これがコモンズ投信の提案だ。
◆富を創出するのは、株式市場ではなく企業
-ウォルター・スコットの運用方針は
ウォルター・スコットのジェーン・ヘンダーソン氏(マネージング・ディレクター) われわれの運用方針は、世界中から成長している素晴らしい企業を発掘し、企業のパートナーとして、できるだけ長く、理想としては永遠にその株式を持ち続けることだ。
私たちの事業の原則は一つだ。「クライアントの富を守り、その価値を長年にわたって高めていくこと」だ。そうした考え方を、社員全員が理解し、われわれのDNAとして、創業者から脈々と受け継いでいる。
投資に対するアプローチは一つだ。「富を創出するのは、株式市場ではなく企業だ」という考え方に基づいて、本当に優秀な企業を発掘して、投資する。株式市場には、良い会社もあれば、そうでない会社もあり、玉石混交だ。
優秀な企業とは、成長して富を生み出していて、売上高や収益を高い水準で持続的に伸ばしており、潤沢なフリーキャッシュフローで再投資を行い、投資家に還元している。さらに、盤石なバランスシートを持っている。
こうした企業は、たくさんあるわけではないので、厳選した銘柄でポートフォリオを組んでいる。ポートフォリオの半分以上は、10年以上投資する企業だ。30年以上保有している企業もある。辛抱強く投資することが大切だ。
私たちは、投資した後も経営陣と定期的に面談して、会社をより深く知り、信頼関係を高めている。その結果として、投資家に対してすばらしいリターンを還元している。



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