成長と分配の好循環を推進=資産運用立国の実現に向けて-第4回資産運用業協会
2025年09月30日 08時00分

投資信託協会と日本投資顧問業協会は29日、都内で第4回資産運用業大会を開催した。「資産運用立国」の実現に向けて、資産運用会社の社会的使命や果たすべき役割を再認識し、資産運用業の改革・高度化に向けた取組みを推進する狙い。
日本投資顧問業協会の大場昭義会長は、資産運用立国をめぐる政府の施策について「資産所得倍増プランやコーポレートガバナンス改革を通じ、インベストメントチェーンを構成する各主体に対して、重層的に施策が実施されている」と指摘。資産運用業界の役割について「我が国の経済において、成長と分配の好循環を推進する上で、重要な主体となることが期待されている」と述べた。
また、資産運用業界の特徴について「忠実義務、いわゆるフィデューシャリーデューティーを業務運営の基礎としており、企業の分析や独自の見解を突き詰め、それぞれが独自の強みを構築することで、委託者に価値を提供する業界だ。『委託者の期待にどう応えるか』という『質』に重点を置く業界ともいえる」と紹介した。
日本投資顧問業協会と投資信託協会は、来年4月に統合し「一般社団法人資産運用業協会」となる。大場会長は「会員数が約930社、会員の運用資産規模が1000兆円を超える、金融関係の団体では最大規模となる見込みだ。資産運用業が、銀行業、証券業、保険業と並ぶ位置づけとなるように努力して取り組んでいく」と述べた。

投資信託協会の松下浩一会長は、投資信託の現状について「残高はこの10年間で150兆円から400兆円へと2.5倍に拡大した。しかし、世界に目を転じると、8番目の規模でしかない。まだまだ拡大の余地があるのではないかと思っている」と指摘した。その上で「資産運用業が第4の柱になるように、健全な発展に向けて、山積する課題を早急に解決していかなくてはならない」と述べた。
課題の一つとして運用能力の向上を挙げ、「NISAやiDeCoにより、投資や資産形成が若い世代を含め、多くの国民に意識されている。われわれのマザーマーケットである日本市場において、運用のプロとして調査・分析の能力を向上し、アクティブファンドの魅力を高めていくことが大切だ」と指摘した。
また、来年4月に発足する一般社団法人資産運用業協会については「業界全体としての一体感を高め、海外発信力や国際連携を強化していかなくてはいけない。それが資産運用立国の実現、ひいては、日本経済の持続的成長につながるものと信じている」と話した。