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〔週間株式見通し〕上値をうかがう材料待ち局面=岡三オンライン・伊藤氏

2020年09月11日 16時09分

AFP時事
AFP時事

 伊藤嘉洋・岡三オンライン証券チーフストラテジスト=今週はレーバーデー明けとなる米国株式市場が、3営業日続落した流れを嫌気して地合いが急速に悪化。日経平均は8月28日以来、節目の2万3000円を下回る場面があった。その後、米国株式市場が反発の後、反落するなど不安定な動きもあって、一時反発地合いを強めたものの、2万3300円台では上値の重さが意識された。メジャーSQ値は2万3272円。週末は2万3406円で終了した。

 ◇海外の焦点

 8月米雇用統計は137.1万人増と市場予想の140万人増とほぼ同じだった。失業率は8.4%と前月の10,2%から大幅に低下し、労働市場の緩やかな改善傾向が示された。トランプ大統領は大統領選を控え、支持率でバイデン前副大統領に後れを取っているが、差は再び縮まりつつある。雇用回復が続けば、現職のトランプ大統領への危機対応を巡る激しい逆風は、段階的に和らぐことになる。

 祝日明けの米国株式市場は長期金利上昇により、ハイテク株の需給調整が続いた。加えて、トランプ大統領が中国との経済関係を大幅に縮小すると、対中強硬姿勢を表明したことで米中関係悪化が再燃し投資意欲は高まりにくい環境。NYダウは下値支持線の25日線2万7970ドルを割り込んだ上、短期的な下落基調を示唆する5日線と25日線のデットクロス接近で調整気分が強まった。市場では、米マクロ指標の改善が続き金融緩和期待が後退すれば金融相場に一服感が強まるとの警戒感も広がりつつある。しかし、9日新型コロナウイルスの開発を巡り、英大手メディアが英アストロゼネカが副作用によって休止した治療を来週にも再開すると報道。一転、ワクチン開発の遅れの懸念が後退し投資家心理を改善させている。

 ◇国内の焦点

 国内経済指標は低迷を脱しつつある。内閣府が発表した7月景気動向指数は76.2と前月比1.8PT改善、2カ月連続でプラスだった。自動車関連の販売、生産回復が寄与した。新型コロナウイルス感染拡大が影響して小売業などの不振や有効求人倍率悪化で改善幅は小幅にとどまった。景気の現状を示す現状判断は「悪化」が12カ月連続とリーマン危機直後の11カ月を上回り悪化傾向は最長となった。

 4~6月期GDP2次速報値は前期7.9%減、年率換算28.1%減となった。一次速報値から下方修正された。民間住宅、企業設備、政府最終消費が下方修正となった。

 8月の景気ウオッチャー調査の街角景気の現状判断指数DIは前月比2.8PT高い43.9となった。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかかったとの見方などから、上昇幅は7月の2.3PTから拡大した。内閣府は7月に見られた感染者急増への懸念が和らいだとみている。一方、飲食関連DIは前月比4.4PT低下した。外食を控える傾向が見られ、客足の戻りが鈍ったうえ座席を減らすといった感染対策が重荷となった。

 ◇来週の株式相場

 来週は米国の動向に左右されやすい需給相場の様相を強めそうだ。日経平均はもみ合い相場から上値をうかがう材料待ち局面と捉えている。自民党総裁選は14日投開票、16日衆参両院の本会議で首相指名を実施する。新政権の政策を探ることになろう。国内イベントでは、7月鉱工業生産指数確定値(14日)、日銀金融政策決定会合(17日)、米国では、FOMC議事要旨(16日)、8月景気先行指標総合指数(18日)、の発表が予定されている。
【来週の予想レンジ】2万3000~2万3800円(了)

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〔週間株式見通し〕について
SMBC日興証券、岡三オンライン証券による翌週の株式市場見通しを紹介する記事です。マーケットの動向に影響を与えそうなイベントの解説などが盛り込まれています。毎週金曜日に配信しています。

 

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