東京サステナブルファイナンスフォーラムが開催=持続可能社会の実現目指す
2024年10月04日 18時35分
東京国際金融機構(中曽宏会長)は4日、金融を通じて新たな産業・社会構造への転換を促し、持続可能な社会を実現する「サステナブルファイナンス」を議論する「東京サステナブルファイナンスフォーラム」を都内で開催した。最新の国際動向や将来展望について、当局者や企業の実務担当者らが講演やパネルディスカッションを展開した。
同機構は官民連携で国際金融都市としての東京の地位向上に取り組んでいる。フォーラムの開催は今年で5回目となる。
今回は、脱炭素社会の実現を目指す企業をサポートする新たな金融の手法である「トランジションファイナンス」や、金銭的な見返りのみならず、社会的・環境的なインパクトを生み出す「インパクト投資」をイベントの柱に据えた。
フォーラムの冒頭、東京国際金融機構アンバサダーを務める三井住友トラスト・アセットマネジメントのデービッド・セマイヤ会長は、サステナブルファイナンスの重要性に触れ、「われわれは存続の危機に立ち向かっており、カーボンクレジットに関する日本の役割は重要。時間的な余裕はなく、今こそ行動に移すとき」と訴えた。
基調講演した堀本善雄金融庁政策立案総括審議官は「ここ数年の投資規模は足踏み状態か、場合によっては減少しているが、サステナブルファイナンスの資金ニーズはある。技術的な不確実さなど課題は多いが、一日も早く取引実績が積み上がるよう、政府も民間と連携していきたい」と指摘した。
第1部のパネルディスカッションでは、GX推進機構(脱炭素成長型経済構造移行推進機構)の高田英樹理事の司会で、商船三井、大和証券、ソシエテ・ジェネラル証券の実務担当者らが、サステナブルファイナンス推進のための課題を議論した。大和証券の根岸真美サステナビリティ・ソリューション推進部部長は「(サステナブルファイナンスへの取り組みが)企業価値の向上に資することを企業に説明していくことが必要だ」と指摘した。
東京都の山本麻里雄産業政策連携促進担当部長は、都が2025年3月の運用開始を目指しシステム構築を進めている、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったカーボンクレジット取引システムの概要を説明。「中小企業がトークン化されたJ―クレジットや海外ボランタリークレジットを購入し、脱炭素化に取り組めるよう、都としても貢献したい」と話した。
岩谷産業の福島洋取締役(元経済産業省官房技術総括・保安審議官、水素バリューチェーン推進協議会事務局長)は、「日本は要素技術で強いが、結果的に(ビジネスでは)海外に負ける事態が起きている。水素エネルギーの活用では関係者が知恵を絞り、日本の産業が強くなるようゴールを目指したい」と語った。
閉会のあいさつにビデオメッセージで登場した小池百合子東京都知事は「みんなで手を携え、持続可能な世界を実現させましょう」と呼び掛け。中曽会長は「サステナブルな社会への移行という一つの目標に向かって、団結していただきたい」と締めくくった。(了)