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日経平均、4万円超予想が大半=大統領選経て上昇―10~12月時事株価フォーキャスト=

2024年10月01日 14時00分

日経平均10月-12月予想レンジ


 時事通信社は10~12月の日経平均株価の見通しについて市場関係者に聞き取り調査を行い、18人から回答を得た。米景気のソフトランディング見通しや、11月上旬に本格化する国内企業の中間決算での業績上方修正期待から、17人が上値の上限で4万超えを予想。自民党の石破茂総裁が表明した解散総選挙や米大統領選を経て、日米政治の不透明感が和らぎ、「上値追いの展開」(大和証券の山田雪乃投資情報部長)に向かうとの見方が示された。

 1日発足の石破内閣に株価上昇の追い風を期待する声も。内藤証券の北原奈緒美シニア・アナリストは「岸田政権の政策を引き継ぐ公算は大きい。緩和的な金融環境が続くとの見方が広がれば、投資家の買い安心感につながる」と答えた。

 石破氏は総裁選中に金融所得課税強化に言及した経緯がある。下押し懸念も根強く、「政策が市場の期待に応えられないなど政治が足を引っ張る場面があるかもしれない」(東洋証券の大塚竜太ストラテジスト)、「市場に厳しい政策がどの程度の強度で打ち出されるかもリスク要因」(ソニーFGの渡辺浩志金融市場調査部長)などと警戒されている。

 このほか、株価上昇に向けて、JPモルガン証券の西原里江チーフ株式ストラテジストは「1ドル=145~155円の円安基調の持続」の必要性を指摘した。一方、コモンズ投信の伊井哲朗社長は「1ドル=140円程度であれば企業業績に大きな悪影響はなさそうだ」と言及した。 

 予想の中央値は、上値4万1194円、下値3万5122円。下値レンジを3万1200円とした三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「米国のリセッション入りの可能性が高まり、大幅な連続利下げの見方が浮上、米長期金利が急低下し、一気にドル安・円高が進行する」などを懸念材料として示した。

 調査は9月下旬に実施した。(了)


【時事株価フォーキャスト(2024年10~12月)回答一覧】

◆名前・肩書き
①■万■~■万■円(方向感)
②上値の条件
③下値  〃


◆大西耕平・三菱UFJモルガン・スタンレー証券上席投資戦略研究員

①明確な上昇トレンド。レンジは3万5000~4万3000円

②11月5日の米大統領選後に市場のリスクオンが進展
自民党総裁選後に解散・総選挙が実施され、変革への期待が高まる

③投機主導で130円台前半まで円高が進行


◆ 黒瀬浩一・りそなアセットマネジメント・チーフ・ストラテジスト

①広いレンジで横ばい圏、3万4000~4万3000円

②米国が緩やかな利下げを続けることで、住宅販売や自動車販売が盛り返して景気は回復傾向に入る。
そうすると過度な利下げ期待が後退して円/ドルは140ー150円前後で安定する。
日本は新たな景気対策、トヨタの生産再開、実質賃金のプラス幅拡大、を受けて景気の回復傾向が鮮明になる。
ガバナンス改革で事業再編、持ち合い解消、自社株買い、など再開する。
新政権が金融緩和や積極財政などアベノミクスを継承する。

③米国で景気が急減速して利下げペースが加速する。
円高が加速して120円台に入る。
日本で消費者の物価高を嫌気する萎縮が続き個人消費が悪化する。
ガバナンス改革が尻切れトンボとなる。


◆秋野充成・いちよしアセットマネジメント社長

①3万8000円~4万2000円:上昇方向

②米国のソフトランディング(軟着陸)

③140円を越える円高の進行


◆藤原直樹・しんきんアセットマネジメント投信・シニアファンドマネージャー兼アドバイザー


①レンジ 3万6000~4万2000円
 方向性 → ↗ ↗

②・米国経済のソフトランディングとFRB(米連邦準備制度理事会)の4.25―4.5%までの利下げ
 ・日銀の利上げに対する慎重姿勢の維持と実質賃金のプラス定着
 ・企業業績の上方修正とROEの向上

③・米国経済のリセッションもしくはインフレ再加速
 ・市場動向を無視した日銀の利上げ


◆石原宏美・アムンディ・ジャパン株式運用部長

①3万6000~4万円
米国大統領選までは不安定な地合いが続くとみるが、年末にかけて上昇していくと見ている。

②米国軟着陸に対する確信が高まり、FRBが大幅利下げではなく、段階的な利下げとなり、急速な円高進行への圧力が弱まる。
実質賃金がプラス推移を続け、来年の賃上げに対する確度が高まるとともに、足元回復傾向にある国内消費が底堅く推移すること。
日本企業の堅調な業績進捗が確認できる。

③米国景気後退懸念の高まりで、米国株安を受けて日本株も連れ安。
またそれにより、FRBが利下げを急ぐことで、円高進行が進むと外需企業の来期業績予想に対する懸念が高まる。


◆山田雪乃・大和証券投資情報部長

①3万3000~4万円(↗)

②11月の米大統領選挙や米景気懸念を巡る不確実性をこなしつつ、米選挙終了後は上値追いの展開へ。日本でも解散総選挙を経て新政権の経済政策を巡る不透明感が払しょくされる。実質賃金プラス転換後の消費回復や、賃上げと物価上昇の好循環を反映し、内需関連の業績改善期待が高まる。

③半導体相場の息切れ。トランプ氏再登板で日本にも関税賦課。米景気後退懸念。急激な円高進行。もっとも実質マイナス金利の継続が、日本企業の業績伸長を後押ししよう。


◆市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト

①3万1200~4万2500円(上昇、12月末着地は3万9600円)

②米景気のソフトランディングの可能性が高まり、大幅な連続利下げの見方が後退、米長期金利が下げ渋り、ドル円相場が安定すること/中間決算で想定以上の進捗(しんちょく)率が確認され、業績予想引き上げの動きが一気に広がること/投資家の視点を踏まえた質の高い資本効率改善などの取り組みと開示が想定以上のペースで増えること/実質賃金の前年比伸び率が大幅なプラスに転じ、消費の回復やデフレ脱却への期待が一気に高まること/2025年春闘で大幅な賃上げ要求の流れがみえてくること/中東情勢、ウクライナ情勢が一気に好転すること/米欧の金融緩和で、世界的に安定した経済成長が実現すること

③米国のリセッション入りの可能性が高まり、大幅な連続利下げの見方が浮上、米長期金利が急低下し、一気にドル安・円高が進行すること/中間決算で進捗(しんちょく)率が低迷し、業績予想の下方修正への不安が強まること/投資家の視点を踏まえた質の高い資本効率改善などの取り組みと開示が全く増えないこと/実質賃金の前年比伸び率が低迷し、消費の回復やデフレ脱却への期待が後退すること/2025年春闘で大幅な賃上げ要求の機運が低下すること/中東情勢、ウクライナ情勢が大きく悪化すること/米欧の金融緩和が遅れ、世界的に景気が大きく冷え込むこと


◆安田光・SMBC日興証券チーフ株式ストラテジスト

①3万4000~4万1000円(もみ合い)

②米国大統領選後、米国で設備投資需要が拡大し、米ISM製造業指数やグローバル製造業PMIが底打ちするケース

③米国大統領選後、米中貿易摩擦の激化懸念で企業活動が抑制され、設備投資需要の回復が後ろ倒しになるケース


◆藤代宏一・第一生命経済研究所主席エコノミスト

①3万7000~3万9500円、上昇

②米国の景気後退懸念が和らぐ中、高水準の自社株買いにより日本企業の資本効率改善に期待が集まる。

③米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退する局面では、米国株下落が日本株の重荷となる。


◆大塚竜太・東洋証券ストラテジスト

①3万5000~4万2000円、上向き

②中間決算で企業の業績の堅調さが確認され、通期業績予想の上方修正も出ることで、海外株と比べた日本株の割安感が意識されれば、海外投資家の買いが入ろう。

③政治が足を引っ張る場面があるかもしれない。新たな政権の政策が市場の期待に応えられなかったり、増税が打ち出されるなどすると株価下押し圧力になる。


◆井出真吾・ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト

①3万5000~4万0000円、11月ごろから上向く

②中間決算発表では、通期業績の上方修正が多く出るだろう。米大統領選が終わって、不透明感も和らぐ。

③リスク要因として、米景気の減速が改めて意識される可能性がないわけではない。ソフトランディングの範ちゅうでも、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げのペースが少し加速したり、日銀が早期に追加利上げすると、為替は円高に振れる。


◆山本信一・岡三証券シニアストラテジスト

①3万5000~4万1000円 上昇

②ドル円相場の落ち着き(1ドル=140~150円)
日米政治の不透明感が後退
中間決算での業績上方修正など

③ドル安円高の進行
米ハイテク株の調整


◆土信田雅之・楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリスト

①3万6000~4万1500円 基本的方向性は「比較的値幅の大きいもみ合い」

②米国経済の「ソフトランディング」シナリオへの自信
生成AIなど、相場物色の手掛かりとなるテーマの持続

③米国経済の「ハードランディング」、「スタグフレーション」シナリオへの警戒
国内企業業績の鈍化
中国経済の減速と地政学的リスクの高まり


◆三宅一弘・レオス・キャピタルワークス経済調査室長

①3万5000~4万1000円(ボックスレンジ、米大統領選挙頃まで弱含み、選挙後強調展開。乱高下を交える可能性も)

②米大統領選挙が終わり、結果判明でリスク選好的な動きへ
国内与党政権が安定政権へ

③円高急伸。リスク回避の動き。日米政治情勢の不透明化、中東情勢緊迫化


◆伊井哲朗・コモンズ投信社長

①3万6000~4万1000円(10月安値から年末高へ)

②上場企業の今期業績予想はおおむね保守的だ。円高を警戒する雰囲気は強いが、1ドル=140円程度であれば企業業績に大きな悪影響はなさそうだ。9月中間決算発表が11月中旬までに出そろい、自社株買いを交えた1株当たり利益の増加傾向を確認できると株価は上昇するだろう。

③割高感の強い米国株が調整を迎えれば、日本株も一時的に下押しを強いられるだろう。ただ、11月の米大統領選挙でトランプ氏、ハリス氏のどちらが当選しても景気対策に乗り出すと予想されるため米国株の下げ幅は限られ、日経平均は9月の最安値(3万5247円)を下回ることはないとみている。


◆西原里江・JPモルガン証券チーフ株式ストラテジスト

①3万6000~4万2000円

②米景気のソフトランディング期待の高まり、米大統領選後の不確定要素の後退、円安基調の持続(1ドル145―155円)

③雇用統計悪化など米景気後退への懸念が高まり、ドル円が140円以上の円高進行となるとき


◆渡辺浩志・ソニーフィナンシャルグループ金融市場調査部長

①年末予想値3万7000円(予想レンジ3万4500~4万円)
日米金融政策の逆行(米国は利下げ・日本は利上げ)により日米金利差が縮小し、ドル円は年末に1㌦=139円を見込む。極端な円高や日銀のタカ派化がなければ、市場心理(PER)は現状から横ばいでの推移が見込まれる。その下で、年末の日経平均株価を3万7000円と予想。なお、金融政策の方向性は日米とも明確になったが、利上げ・利下げのペースは「データ次第」で不透明。それゆえ、為替レートと市場心理はともに上下に振れやすい。また、米大統領選という大きな不透明要因や、石破新首相の経済政策の不透明感もあるため、たかだか3カ月の見通しにも関わらず、予想幅は5000円超と極めて大きい。

②円安と市場心理の好転が進めば、高値実現。例えば、米景気の軟着陸と小幅な利下げによるドル高圧力、および日本のインフレ鈍化などによる日銀ハト派化(年内利上げ見送り機運)が重なれば1㌦=145円超の円安水準に。同時に市場心理(PER)が現状よりも改善することで4万円を実現。また、米大統領選でハリス氏勝利なら米株価は緩やかな上昇が続くと見込まれ、円高圧力も高まりにくいことから、日本株の追い風に。

③円高と市場心理の悪化が同時に進めば、下値実現。例えば、米景気(特に労働市場)の大幅悪化によりFRBがハト派色を強め、年内に0.75%以上の利下げを行う半面、日銀がタカ派姿勢を維持し、12月に利上げを行うケース。その場合、1㌦=135円の円高と市場心理の悪化が重なり、日経平均株価は3万4500円に。
米大統領選でトランプ氏再選なら一時的に株価上昇も、同氏の米国第一主義政策(高関税による貿易戦争や移民排斥)によるスタグフレーションのリスクが意識されれば、米株安を通じて日本株も下押し。石破新首相の金融所得課税や法人増税などの市場に厳しい政策がどの程度の強度で打ち出されるかもリスク要因。


◆北原奈緒美・内藤証券投資調査部シニア・アナリスト

①3万5500~4万円(年末高)

②日本企業の「稼ぐ力」の増大や積極的な配当や自社株買いを背景とする長期的な株価上昇トレンドは変わらないとみている。新NISA(少額投資非課税制度)に代表される株式市場に資金を呼び込む岸田政権の政策を石破氏が引き継ぐ公算は大きい。緩和的な金融環境が続くとの見方が広がれば、投資家の買い安心感につながり、株価上昇の追い風となるだろう。

③可能性は低そうだが、総選挙後に増税と金融引き締めを強行する方向の発言が石破氏やその周辺から出てくれば、株価の強い下落要因となりかねない。

 

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