物流24年問題、来週に緊急対策=自動化、賃上げを促進―岸田首相
2023年09月28日 22時19分
中小トラック事業者らと車座で対話に臨む岸田文雄首相(中央)=2023年9月28日、東京都大田区[代表撮影]
岸田文雄首相は28日、トラック運転手の不足が懸念される物流業界の「2024年問題」への対応策として、「物流革新緊急パッケージ」を来週まとめる方針を表明した。荷役作業の自動・機械化、再配達の割合を減らすためのインセンティブ(動機付け)付与、自動運転の促進などを盛り込む。10月末に取りまとめる総合経済対策に反映させる。
東京都内で記者団の質問に答えた。緊急パッケージは来週、関係閣僚会議を開いて決定。再配達対策では、玄関先などに荷物を置く「置き配」を選んだ場合に商品購入のポイントを上乗せする案が有力となっている。首相は、倉庫の脱炭素化、電気自動車(EV)トラックの導入推進も対象にすると説明した。
トラック輸送の大半を占める中小企業は、荷主との価格交渉に苦しむ。首相は運転手らの賃上げに向け、運賃を適正水準にするための法制化を来年の通常国会で進める方針も示した。
24年4月から時間外労働の上限規制がトラック運転手にも適用されることに備え、政府は6月に対策を発表。再配達率の半減や、運賃を適正化するため「送料無料」表示を見直す方向性を打ち出した。首相は「スピード感を持って実行する」と強調した。
首相は東京都大田区でトラック輸送などを行う企業を視察し、経営者や運転手と意見交換した。運転手は、再配達が重荷になっているとして、受け取り場所を増やすなどの改善を訴えた。企業側は「中小企業が原価を運賃に転嫁するのは困難だ」と支援を求めた。(了)
関連記事一覧
物流の2024年問題
働き方改革を目的とした改正労働基準法の施行により、2024年4月からトラック運転手の時間外労働への規制が厳しくなり、物流の停滞が懸念される問 …