阪神優勝で株高続く?=経済効果も日本全体で969億円に
2023年09月11日 13時14分
株式市場では、プロ野球阪神タイガースの優勝に注目が集まっている。
市場では「阪神が優勝した年と翌年は株高というジンクスがある」(国内証券)とされるからだ。
プロ野球がセ・パ両リーグに分裂して以降、阪神がリーグ優勝したのは1962年、64年、85年、2003年、05年の5回。62年は10月3日に優勝、翌日4日の日経平均株価の終値は1279円93銭、同年の大納会の終値は1420円43銭で、上昇率は11.0%だった。同様に計算すると、64年は0.6%下落。85年は0.7%上昇。03年は1.9%下落。05年は18.7%上昇で、勝率は3勝2敗で、5回の平均上昇率は5.6%だった。
「優勝年の勝率は3勝2敗であまり優位性はない」(別の国内証券)というものの、優勝翌日の終値から大納会までの平均上昇率を直近の日経平均の終値(8日の3万2606円)に当てはめると3万4000円程度まで上昇する可能性はありそうだ。
また、優勝翌年の日経平均の動きをみると、63年こそ13.6%の下落となったものの、65年が15.5%上昇、86年は42.4%上昇、04年が6.1%上昇、06年は5.3%上昇で、平均上昇率は11.1%となっている。
市場からは「仮に優勝年に株価は上がらなくても、翌年の株価上昇が期待できる」との楽観的な声が聞かれる。大納会まではまだ3カ月超あるが、足元の日経平均に平均上昇率を当てはめると、来年は3万6000円超に上昇する計算になる。足元で阪神のマジックは5(9月11日現在)と優勝まであと一歩のところまで来ており、期待感が日に日に高まっている状況だ。
また、よく指摘されるように大きな経済効果も望める。関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、球場に来た観客の消費増加やファンによる飲食増加、優勝祝賀セール、タイガースグッズの売り上げ増加などを基に試算した結果、経済効果は日本全国では969億1238万円に達するという。
宮本名誉教授は、大谷翔平選手が活躍したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、「侍ジャパン」が優勝時の経済効果は、約654億3329万円だったと指摘した上で、「スポーツにより多くの人が元気をもらうことで、日本が元気になり今後益々発展していくことを願っている」と語る。
さらに、景気探検家でエコノミストの宅森昭吉氏は「阪神優勝年は、実質GDP(国内総生産)成長率が高い関係がある」と話す。
宅森氏は「73年以降22年までの50年間での実質GDP成長率の暦年成長率の単純平均はプラス2.07%だった。阪神が優勝した85年、03年、05年の暦年・実質成長率の3回の平均はプラス2.83%で、50年間の平均を上回っている」と話し、「阪神優勝は国内経済全般に好影響を与える」との見方を示す。
阪神優勝関連銘柄にも注目したい。球団ホームぺージによると、オフィシャルスポンサーは上新電<8173>、ミズノ<8022>、ローソン<2651>、アサヒ<2502>などがある。また、阪神ファンで知られる株式アナリストの藤本誠之氏は、関連銘柄として、阪急阪神<9042>、H2Oリテイル<8242>、オリックス<8591>、SWCC<5805>を挙げる。
阪急阪神は阪神タイガースのオーナー企業で、阪神甲子園球場へは、阪神電鉄・甲子園駅が最寄り駅で旅客数の増加が期待される。H2Oリテイルは、阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合してできた関西地盤の百貨店で、優勝セールなどによる売り上げ増が見込まれる。オリックスは関西を拠点としたパ・リーグの球団で、現状パ・リーグ首位で、リーグ優勝目前。藤本氏は「関西地区の球団で日本一を決める決戦となれば、一段と関西地区が盛り上がる」と注目している。
また、今年のタイガースの好調さについて、藤本氏は「岡田監督の選手起用などの手腕が大きい。マネジメント力が高いことが好調の要因」と分析した上で、「経営陣主導で変革を遂行している企業にも関心が集まるか」と指摘。具体例として、SWCCを挙げる。藤本氏は「同社は18年に女性社長が就任し、その後23年4月には連結子会社2社を吸収合併し、純粋持株会社から事業会社へ移行するなどの改革を進め、業績が改善・拡大しているから」と指摘する。
このほか、語呂合わせ的なものでは、球団名にちなんだタイガーポリ<4231>、監督名に絡んだオカダアイヨン<6294>、所属選手の名前にちなんだ森下仁丹<4524>を挙げている。(了)