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〔深読み米国株〕米金利上昇、打撃はナスダック指数よりダウに?

2023年08月22日 14時00分

EPA=時事EPA=時事

 パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による「ジャクソンホール会議」での講演を8月25日に控え、10年物米国債の利回りが21日に4.35%と、2007年11月以来の高水準を付け、日本時間22日の時間外取引では4.36%台半ばまでさらに上昇した。金利上昇は高い成長期待を織り込んだナスダック総合指数のマイナス材料とされるが、ナスダック指数よりダウ工業株30種平均の方が高金利の打撃が顕著になる可能性がある。

 米国株の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は22日朝、「ハイテク株と住宅株の共通点、どちらもリスキーだ」と題する記事を掲載した。同記事はハイテクと住宅の両セクターが債券利回りに敏感な共通点があると指摘し、国債利回りの上昇を反映して住宅ローン金利が前週、30年固定で7.09%に上昇したことを紹介した。住宅建設株は10年債利回りの影響を最も受けやすく、ホームセンター大手ホーム・デポは景気見通しが改善するまでさらなる下落が予想されるという。

 同記事に補足すると、ホーム・デポへの下落圧力が増すと、ダウの強力な押し下げ要因になる。ホーム・デポはダウの構成比が大きいからだ。

 21日の取引終了時点では、ホーム・デポのダウ構成比は6.2%とユナイテッド・ヘルス・グループ(UNH)の9.5%に次いで2位。ナスダック100指数でのエヌビディア(NVDA)よりも構成比が大きく、ダウに対してはアップル(AAPL)の2倍、インテルの約10倍の構成比を占める。

 一方、ナスダック系指数を左右する巨大ハイテク銘柄は金利上昇が懸念材料とされる。しかし、10年物国債利回りが4%の大台に乗せた7月6日から8月21日まで値動きは、エヌビディアが11.6%高、アマゾン・ドット・コムが4.9%高と金利上昇に逆行して値上がりしている。エヌビディアは決算発表を前に業績の上振れ期待が強いなど個別に買い材料はあるが、国債価格をリーマンショック前の水準に下落(利回りは上昇)させるほどの環境下であっても、米IT株が強い耐性を示しているのは確かだ。

 25日のパウエル議長講演では、利上げ続行に前向きな「タカ派」発言が警戒されている。ただ、市場の懸念通りにパウエル氏がタカ派色を前面に押し出したとしても、投資家が渇望しているナスダック銘柄の安値拾いのチャンスが訪れる可能性は低い。足元の地合いからはそんな推論が可能だ。日本の古い相場格言には「押し目待ちに押し目なし」とある。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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