〔深読み米国株〕米国株はバブルか…ピークはもっと上かも
2023年06月23日 17時30分
6月はS&P500指数やナスダック総合指数が今年最高値を更新した。昨年末比ではS&P500が15.9%高、ナスダック総合指数が32.5%高の水準にあり、今年前半の米国株は絶好調だった。ただ、短期間の株価急騰と並行してバブルへの警戒感が膨らんでいる。底値で様子見を決め込んだ投資家にとってこれから必要になるのは、上げ相場に合流することで期待できるリターンと高値づかみのリスクをてんびんに乗せる作業だ。
大和証券の末廣徹チーフエコノミストは「米国株の水準をGDP(国内総生産)で説明できるか」をテーマに6月23日付リポートで米国株とマクロ経済の関係を考察した。末廣氏は名目GDPとS&P500ベースの1株当たり利益(EPS)が過去に連動してきたことを紹介するとともに、年後半の名目GDPの伸び悩みを予想。独自モデルを活用して今年末のS&P500のフェアバリュー(適正水準)を、6月22日終値を13%下回る3813と試算した。
一方で、企業の売上高や利益は名目値であり、株価は名目GDP成長率に依存する。このため、名目GDPが高い成長を続けてきたことを踏まえると、株高は正当化される面があるという。
米国株投資の情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」は6月21日付で「バブルの可能性が高い20銘柄」と題する記事を掲載した。同記事は非鉄大手サザン・コッパー(SCCO)や自動車ディーラーのペンスキー(PAG)、再生可能エネルギー関連のIT企業フルエンス・エナジー(FLNC)などを紹介している。
バブル状態にあると推察される20銘柄はコロンビア大学教授でゴールドマン・サックスの元最高投資責任者(CIO)のケント・ダニエル氏ら3人の学者による論文の考え方を援用し、貸し株市場での株の少なさからから空売りが困難な高騰銘柄を抽出した。空売りが難しければ、株価は企業の実力を超える水準で高止まりする可能性が高いとの判断が根底にある。
サザン・コッパーなどバブル化が強く疑われる崩れてくれば、相場全体への株価下落の拡大を心配する必要がありそうだ。ただ、バブル候補銘柄が今後も株価水準を切り上げていくようだと、相場の頂点はもっと上ということになる。(編集委員・伊藤幸二)(了)