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〔深読み米国株〕米国株に押し目なし?…預金流出騒動でわかったこと

2023年04月28日 16時00分

EPA=時事EPA=時事

 米中堅商業銀行のファースト・リパブリック銀行(FRC)が深刻な預金流出に見舞われたことが判明し、同行株は4月24日の取引終了時から26日にかけての2日間で下落率が一時70%を超えた。しかし、市場は全くと言っていいほど動揺せず、日本の相場格言にある「押し目待ちに押し目なし」を地で行くような展開を見せている。

 FRCは3月のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻以降、財務状態が不安視され、4月24日には第1四半期に1000億ドルを超える預金が流出したと報じられた。今年2月に147ドルを超えた株価は4月26日には一時5ドルを下回った。「現地では、ネットトレーダーのマネーゲームに使われている」(外資系証券)という。

 金融機関の経営難が判明するなど外部環境の不透明さが増す局面では、相場全体が連れ安を強いられるのがこれまでの定石だった。一方、こうした漠然とした地合い悪化局面は買い出動する現金枠と判断力を備えた投資家にとって、運用成績を上げる好機になるものだ。

 しかし、足元ではVIX(恐怖指数)が20%未満の低水準で推移するなど相場全体が崩れる様子はない。4月27日のS&P500指数は昨年末終値を7.7%上回り、FRC問題は投資家に安値拾いのチャンスを提供していない。

 米国株情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」は4月27日、「ファースト・リパブリックが一段安」と題する記事を掲載した。同記事では、FRCの経営問題の波及が懸念されていたザイオンズ・バンコープ(ZION)やキーコープ(KEY)の株価が平静を保ち、FRC問題などを受けて預金残高が増加したパックウエスト・バンコープ(PACW)などの株価が上昇したことを紹介している。

 FRCの経営不安が株式市場に伝播しないのは、SVB破綻を受けて連邦準備制度理事会(FRB)が流動性供給ツールを用意するなど金融不安阻止の枠組みを整備したのが大きな要因だ。しかし、それだけでは説明として不十分だろう。

 バロンズ・ダイジェストの4月26日配信記事「リセッション入りの懸念あっても株に投資すべき理由」によれば、現地専門家は景気後退への懸念は「資産価格に織り込まれている」とみている。BofA証券のストラテジストは債券より株式を、さらにディフェンシブ株より景気循環株を保有するよう投資家に提案したという。株式に対する潜在的な買い意欲は衰えを知らないようだ。

 米国株については、「世界中で買い時を狙う資金が待機を強いられている」(先の外資系証券)状態が続いている。今後、個別の経済統計が発表されるたびに投資家が描くFRBの金融政策シナリオが揺れ動く公算は大きい。しかし、経済統計も金融政策もマーケットでは数ある材料の一つに過ぎない。「需給に勝る材料なし」である。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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