ウォール・ストリート・ジャーナル
コモディティコンテンツ

マーケットニュース

〔深読み米国株〕ディフェンシブとドル安恩恵株に脚光…5月利上げ打ち止め予想

2023年04月21日 15時30分

AFP=時事AFP=時事

 5月3日に結果が発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)は、「0.25%の政策金利引き上げで利上げ打ち止め」が市場予想の大勢だ。景気減速を示唆する経済統計と利上げ停止期待で強まるドルの先安観を前提にすれば、株式投資家の関心はディフェンシブ銘柄や輸出型企業に向かいそうだ。

 20日発表された前週の新規失業保険申請件数や中古住宅販売件数(3月)、フィラデルフィア連銀製造業景況指数(同)はいずれも景気減速を市場予想よりも強く示唆する内容だった。前週発表された消費者物価指数と卸売物価指数が下振れしたばかりでもあり、5月FOMCでの利上げ打ち止め観測が補強された形だ。

 米国株情報を伝える日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は医薬品や検査サービス、医療保険会社などヘルスケア株に着目。4月20日に「ヘルスケアの有望なディフェンシブ8銘柄」と題する記事を掲載し、ジェネリック(後発薬)メーカーのビアトリスや女性向け医薬品、医療・保健サービス分野に強いオルガノンなどを取り上げている。両銘柄は配当利回りが4%台と高く、アナリストの目標株価まで3割以上の値上がり余地があるという。

 4月21日早朝配信の記事「ドル安の恩恵を受ける5銘柄」は、主要通貨に対するドルの強弱を測るドル指数が昨年9月のピークから約10%下落し、ドル安がさらに進む可能性があると指摘。米国外で稼ぐ企業の投資妙味を解説している。

 S&P500指数構成企業の全売上高の6割は海外で計上されている。ダウ・ジョーンズのデータでは1985年以降、ドル指数が下落した月のS&P500は平均1.3%高、ドル指数が上昇した月は0.2%高と明確な差がある。ドル安は株式市場の追い風になる傾向があるのだ。同記事で紹介した化粧品大手エスティ・ローダーはドルが下落した月の値上がり率は平均で3%と大きい。

 ITなど大型グロース銘柄の構成比が大きいナスダック100指数の4月20日終値はシリコンバレー銀行破綻後の高値(4月4日、13204.08)から1.7%安と頭打ち気味だ。「IT株の上値が重いことに加え、景気後退で石油など資源株にも弱気の見方が増えており、ディフェンシブ銘柄は乗り換え先として注目されやすい」(外資系証券)ようだ。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

ウォール・ストリート・ジャーナル
オペレーションF[フォース]