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〔深読み米国株〕S&P500、史上最高値接近へ…強気予想が台頭

2023年02月03日 15時50分

EPA=時事EPA=時事

 連邦準備制度理事会(FRB)が1日に政策金利を0.25%引き上げ、翌2日には欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(中央銀行)もそれぞれ0.5%の引き上げを発表した。市場予想通りとは言え、投資家は中央銀行が「ハト派」に転じたと解釈し、S&P500指数は2日、昨年10月の安値を20%上回る4195.44まで上昇した。S&P500の史上最高値接近シナリオなど現地専門家の強気予想が目立つようになってきた。

 米国株情報を伝える「バロンズ・ダイジェスト」は3日午前、「S&P500、さらに上昇の可能性」と題する記事を掲載した。同記事はオッペンハイマー、ヤルデニ・リサーチ、スタイルフェルといった運用・投資助言会社のストラテジストによる予想を紹介している。オッペンハイマーのアリ・ウォルド氏はS&P500が今年前半に4600まで上昇するとの見方を披露する。景気後退の影響が小さいとされるディフェンシブ銘柄より、シクリカル銘柄と呼ばれる景気循環の影響が大きいセクターが強い値動きを続けるとの見立てだ。

 ヤルデニのエド・ヤルデニ社長はS&P500が近く4500に達すると予想。2024年の業績見通しが上向けば、今年暮れのサンタクロース・ラリーで最高値(2022年1月、4818.62)まで上昇する可能性があるとしている。

 1月29日付の記事「2023年は強気派の年か」では、2022年の負け組銘柄が年初からの株高を主導している点を指摘した。2日はメタ・プラットフォームズが23%高と急騰し、アマゾン・ドットコム、アップル、アルファベットといった昨年の「悪役銘柄」が連れ高している。日本の相場格言にある「谷深ければ山高し」のように、急落銘柄が鮮やかな反動高を見せることは珍しくない。

 FRBやECBに積極的に金利低下を促す意図がないことは声明文などから容易に読み取れる。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、今後の政策判断はデータ次第だとする発言と矛盾する形で、2回の追加利上げに言及している。大和証券の末廣徹シニアマーケットエコノミストは、「市場がFRBのハト派転換の織り込みに傾いていることを意識し、あえてタカ派色を維持しようという姿勢を示した」と指摘している。先走る株式や債券市場にパウエル議長が釘を刺したものの、今のところ効き目はないようだ。

 仮に株価上昇が続いても、資産効果で消費が刺激され、これまでの利上げ効果が削がれていることが経済統計で判明するのは数カ月先になる。FRBが株高に冷水を浴びせるとしても、パウエル議長が強調してきた「データ次第」に従うなら、数カ月先の話になりそうだ。当面はトレンドに乗るシンプルな投資スタイルが有効かも知れない。(編集委員・伊藤幸二)

 

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