金利指標改革、考査で点検=金融機関は対応加速を―日銀副総裁
2020年01月30日 20時39分
日銀の雨宮正佳副総裁は30日、東京都内で開かれた金融懇話会(時事通信社主催)で講演した。国際的に幅広く金融取引で使われているロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の2021年末廃止に向けた金利指標改革について、「考査やモニタリングを通じて実態を把握する」と表明。金融機関の対応を点検することで取り組みの加速を促した。
LIBORは、銀行の企業向け融資利息や、資金調達を目的に発行される社債の金利を市場実勢に合わせて変動させるための指標。12年に発覚した不正操作をきっかけに廃止が決まり、各国・地域の金融当局が代替金利指標の整備を迫られている。
雨宮氏は、LIBOR廃止について「金融市場にとっては(コンピューター誤作動のリスクが高まった)2000年問題に匹敵する」と懸念。「(廃止まで)2年弱という時間は膨大な作業を踏まえると決して長くない」と警鐘を鳴らした。
廃止は金融機関にとどまらず、対応が必要になる一般企業が少なくない。このため、日銀を事務局とする検討委員会が18年8月に設立され、代替金利指標の検討に着手。試験的な参考値の算出を経て21年半ばまでに決まる見通しだ。雨宮氏は代替指標として、短期金利見通しから算出した期間数カ月程度の金利である「ターム物リスクフリーレート」を軸に検討が進むとの見通しを示した。
日銀は金融庁とともにLIBOR利用状況の実態調査に乗り出している。雨宮氏は「金融庁と連携して金利指標改革をサポートする」と述べた。
◇雨宮正佳日銀副総裁の講演骨子
一、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)廃止は、金融市場にとって「コンピューター2000年問題」に匹敵する
一、廃止まで2年弱あるが、膨大な作業を踏まえると決して長くない
一、日銀は考査やモニタリングを通じて実態を把握する
一、代替金利指標は参考値が今春に公表され、21年半ばまでに決まる
一、金融庁と連携し金利指標改革をサポートする(了)
LIBOR廃止
LIBOR。一般の人には聞き慣れない言葉だろうが、「ライボー」と読む。世界中の金利の「物差し」となる極めて重要な指標だ。金融機関の不正がきっ …